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ALLYOURSと僕 第二章外伝 発酵マルシェ編
山梨には富士登山以外に行ったことがなかった。東京からあんなにすぐ着くとも思ってなかった。何より初対面だった木村さんとプチ旅行をするとも思ってなかった。
甲府駅前で行われた発酵マルシェは、発酵の祭だった。たくさんの人が楽しんでいたし、どこをまわっても「木村さん!」「きむにぃ!」と声をかけられていた。
そしておもしろい大人というのは、お酒が入るともっとおもしろい。
このイベントに関して何もしていないのだが、なんとありがたいことに打ち上げまで遊びに行かせてもらった。
惜しむらくは私がまだ19歳であったことである。山梨のワインが飲めなかったことが唯一の後悔である。代わりにいただいたぶどうジュースは絶品だった。
もう自由に自己紹介して気になる人いたら楽しくおしゃべりして大丈夫だからと言われていたので、田舎者の若人に遠慮の2文字はなかった。たまたま席が近かったジモコロメンバーに私は目をつけられた。
私がオールユアーズを知ったきっかけになった人物、徳谷柿次郎さんが斜め前に座っていた。
見知らぬ若者が珍しかったのか、めっちゃ気さくに話しかけてくれた。そして私が珍しい勉強を大学でしている漫画オタクとわかるや話は止まらなくなってしまった。やはり漫画が好きな人とは仲良くなるスピードが尋常ではない。
熱いどころか熱苦しく漫画の話をする私は、ジモコロメンバーのいい肴だったであろう。
Twitterのタイムラインに出てくる人が目の前にたくさんいるというツイ廃の私には夢のような時間だった。
そして私は人生最高のおむすびに出会う。
「山角や」というケータリングのおむすび屋さんが来ていて、具材をオーダーしてその場で握ってくれるというものだった。
ちりめんじゃこ、大葉、山椒を入れたおむすびを食べた。米がほろっとほぐれ、口の中にじゃこが雪崩れてくる。山椒のツンとした香りと大葉の程よくさっぱりとした酸味が全体を包んでいる。米どころに生きているので、うまい米は食べているはずなのだが、このおにぎりが人生で1番うまかった。そして握ってくれる方がこれまたびっくりするほどイケメン。どこぞの事務所に入っていてもおかしくないイケメンが、黙々とおむすびを握り最後にはニコッと笑って渡してくれる。これはずるい。
そしてあまりにうますぎるため1人1個だったのだが、ダメ元でリベンジしようとしたとき、髪もじゃもじゃのものすごく陽気な人が同じようにずるして前に並んでいた。「おれたち友達だってことにすればなんとなくもう一個もらえそうじゃない?」と言われ、よくわかんないけど元気にもう一個くださいってお願いしたら「若い子あんまりだしに使っちゃだめですよ」とやんわり苦笑いされた。このもじゃさんは2個目どころか4個目だったらしい。おれより欲望に素直じゃねーかと内心思った。そしたら柿次郎のおっちゃんも2個目をもらいに来ていて、こいつめっちゃおもしろいですよと僕を紹介してくれた。自己紹介をするも、「僕はよくわかんない人には名前教えないことにしてるんだ。写真1枚だけ撮っていいから頑張って名前当てて会いに来てみてよ。」とからかわれた。めちゃくちゃ酔ってたので、大人のお戯れだと思った。
そう、もじゃさんとは柳下恭平さんである。
後日SNSを駆使して名前を突き止め、経営者の孤独という本のイベントで一緒におむすび食べたの覚えてますか?とちゃんと再会を果たした。
強烈な大人たちを垣間見た発酵マルシェだった。そして、小倉ヒラクさんが別れ際に僕に言った一言が1番忘れられない。「まだ19歳?いいね〜若いっていい。丈、お前はもっと業を背負って生きろよ」
僕は今21になった。まだ肩は軽い。
以上、第二章外伝でした。プチ旅行に誘ってくださった木村さんのおかげで広くておもしろい大人の世界を見ることができました。
次回はひょんなことから原さんにお呼ばれしてもう一度インターンをさせていただいた話です。
では、道が交わればまたどこかで。
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