村井(前)チェアマンのサッカー愛14
リスペクトコラムです。(元記事:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20230422
またまた久しぶりの村井さんネタです。この「Jの金言」シリーズですが、バドミントン協会もあり、第21回で終了かと思っていたら、4/20付けで第22回が発表されていました。続くのですね。どうしても文量が多くなるので、なるべく内容をダイジェスト化したいのですが、どうしてもボリュームが多いままになりますね。という事で、前回の続きを行かせていただきます。4回分一気に行くので、またちょっと長くなりました。
【現役選手でいられるのは平均6.3年…村井チェアマンが新米Jリーガーに「5年後への手紙」を書かせた理由】(第13回)
〔10年前に入会した103人は10年後どうなったか〕
「――選手に自分宛の手紙を書かせたわけですね。
【村井】場所は静岡県のつま恋にある研修センターだったので、宿泊施設にある便箋をかき集めて何とか人数分揃そろえました。それで、まずは現実を知ってもらうために、あるデータを紹介しました。松沢さんに頼んで「10年前の2004年に入会した103人がその後10年間で何試合に出場できたか」というデータを集めてもらいました。Jリーグの試合数はJ1の場合で年間約40試合。10年で400試合の出場機会がおよその上限であることになります。そこで何試合出られたか。」
〔残酷なデータにみんなの顔が青ざめていく〕
「【村井】みんなには「自分は何試合くらい出場できると思う?」と考えてもらいました。希望に満ち溢あふれている新人選手たちは、およそ半分の150~200試合くらいは出られるんじゃないか、そんな反応でした。でもデータは残酷です。実際には103人のうち46人が50試合以下の出場で、そのうち18人は一度も試合に出ないままJリーグを去っているのです。この事実を伝えると、みんなの顔が青ざめてくるのが分かります。選手の現役期間は平均6.3年と、とても短い。」
〔5年後、チェアマンに届いた選手からの手紙〕
「【村井】でもそんなことは誰も教えてくれないだろうから、あえて厳しい現実を突きつけました。そのデータを踏まえた上で「今から5年後の自分宛に今の決意を手紙に書いてください」とお願いしました。「手紙はJリーグで預かり、5年後に皆さんの実家に送ります」と。データが示す通り、5年後はプロのサッカー選手ではないかもしれないし、クラブを移っているかもしれませんから。」
「――みんな、何を書いたんでしょうか。
【村井】それは私にもわかりません。ただ5年後にその中の一人が私に手紙をくれました。2015年にゴールキーパーとしてファジアーノ岡山のトップチームに昇格した木和田匡君という選手でした。同じ年にファジアーノ岡山に移籍した元日本代表の加地亮選手なんかに、ずいぶんかわいがられたと聞いています。本人は入会研修で手紙を書いたことを忘れていたそうですが、5年後に実家に届いた手紙を見て驚いたそうです。
木和田君は3年でプロのキャリアにピリオドを打っていました。ファジアーノ岡山で出場機会に恵まれず、ヴァンラーレ八戸に期限付きで移籍したのですが「サッカーだけで生活できないのであれば、仕事とサッカーの両立は難しいので、いったん、サッカーから離れよう」と決断したそうです。」
〔「人の人生の最後を守るのはゴールキーパーと同じ」〕
「木和田君は2018年に故郷の福山市で小学校時代からの友人と一緒に遺品整理の会社を立ち上げました。お客さんに「ありがとう」と言ってもらえることにやりがいを感じていて「人の人生の最後のところを守るのはゴールキーパーと同じです」とあり、「15年間続けたサッカーに恩返しがしたいので、指導者のライセンスを取りました」とも書いてありました。(筆者注:木和田選手は2020年、Jリーグ加盟を目指す島根県浜田市のベルガロッソ浜田に入団)読んでいるうちに目頭が熱くなりました。入会から5年、103人の同期の中には日本代表になった選手も、海外に移籍した選手もいます。でも木和田君のように、サッカーの経験を別のフィールドで生かしている人もいるのです。」
当ブログでも何度も取り上げた、J2岡山の選手OBの木和田さんですね。お元気で新しい仕事で頑張っておられるのでしょうか。前に詳しくリスペクトしたので、こちら↓の過去記事をご覧ください。たっぷりリスペクトしたので、今回は省略させていただきます。
木和田さん関連:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220520
【「自分が偉くなる」ではいつか行き詰まる…Jリーグ村井チェアマンが考える「働く」という言葉の本質】(第14回)
〔自分が偉くなるのが大切なのではない〕
「((思うように営業成績を上げられず)20代、30代は結構つらい日々を過ごした記憶があります。)自分が45歳を過ぎた頃から少し様子が変わってきたんです。私はたいして偉くはないのですが、気づくと、昔、お茶を飲んでいたお客さんたちが社長になったり大企業の偉い人になったりしていました。そして20年、30年、真剣にお付き合いしてきたその人たちが、私に新たな方を紹介してくれたりして、そうした人たちによって自分がスーッと引き上げられる不思議な引力を感じ始めたのです。一方、同僚たちが若い頃に食い込んでいた偉い人たちはその頃は、多くがリタイアしてしまうという状況が生まれていました。
そこで学んだのは「自分が偉くなるのが大切なのではない」ということ。「人が偉くなる」のでいい。「人を偉くする」ことができたら尚更いい。自分はこんなに頑張っているのに、会社の上司だったり人事部だったりが自分の仕事をしっかり見てくれていない。そう思うことはあるでしょう。私もそう思うことがありました。
けれどお客さんは裏切りません。お客さんは皆さんの仕事をよく見ていて、そのお客さんたちが偉くなって、後に自分を引き立ててくれたり、苦しい時に応援してくれたりするのではないでしょうか。だからJリーグチェアマンの時には職員に「クラブのトップじゃなくていいから、現場のスタッフと本気で付き合ってほしい」とお願いしました。目の前の人を偉くするのが一番大事だと思います。「傍(はた)」が「楽(らく)をする」のが「働く」。これくらいの気持ちでいいのです。」
若い頃の営業体験ですね。当ブログも個人的な話をするとこういう体験もしているので、若い頃の苦労話よくわかります。その「頭を打つ」経験があるからこそ、今の社会人生活があると思っています。特に「営業」というのはとても貴重で、つぶしが効く経験だと思います。「自分が偉くなるのが大切なのではない」という言葉がありますが、当ブログの表現で言えば「お客様本位」ですね。クラブの事業はかかってくると思います。逆に「商業主義」「自分達本位」で事業をやっているところがあれば、100年続くわけがないと思っています。
【なぜ松田直樹選手は34歳で亡くなったのか…Jリーグの村井チェアマンがいつも「AED」を背負っていた理由】(第15回)
〔心臓突然死で亡くなったわが子のためにも〕
「――高円宮親王妃の久子さまは日本AED財団の名誉総裁としてAEDの普及に力を尽くされており、村井さんもこの財団の顧問をされています。松田(直樹)選手のことがあったからですか。
【村井】それもありますが、実は私も心臓突然死で子供を亡くしているんです。当時の私は猛烈社員で、毎晩、朝帰りの状態でした。その日も朝の4時に帰宅して、母親と一緒に寝ていた子供をベビーベッドに移した後、自分のベッドに倒れ込みました。朝8時ごろ目を覚ますと、子供は母親のベッドに戻っていたのですが、息をしていなかった。大慌てで救急車を呼んで、病院に運ばれた子供はAEDの処置を受けました。小さな体が電気ショックのたびにバーン、バーンと跳ねるのを呆然と見つめていました。」
「毎日、リュックにAEDを入れて通勤した
――そうした想いを忘れないために、村井さんはあることをされてきました。
【村井】Jリーグのチェアマンだった期間、リュックにAEDを忍ばせて出勤していました。AEDの重さは約1.5キログラム。これが私にとっては「命の重さ」です。
リュックを背負って電車に乗っている時、ふと思います。今、ここで誰かが、特に女性が心不全を起こしたら、私はその女性の上着を脱がせてAEDの処置を施すことができるだろうか。ちゃんと胸骨圧迫ができるだろうか、と。」
〔Jリーグだからこそ普及を進めていかなければ〕
「――訓練で一度使っておくと、いざというときにはずいぶん違うでしょうね。
【村井】そうですね。Jリーグでは、真紀さんの「命をつなぐアクション」をはじめとするAEDボランティアの皆さんに全国のスタジアムを巡回してもらい、AEDの使い方が体験できるイベントを続けています。」
昔、県協会ボラ組織、OSS委員会で何度かAED講習会をやった事を思い出しました。確か故松田選手のその時期だったと思います。村井さんのお子さんもそういう事があったのですね。当ブログでは今のところ、身近でそういう事故に遭遇はしていません。それにしてもAEDを背負って通勤ってすごいと思います。結構重いので。
村井さんも書かれていますが、実際にそういうシーンになった時に、蘇生処置ができるのかというのは私も思います。肋骨を折ってしまう可能性もある訳ですから。そうそう、甲府さんの中銀スタジアムに行った時に、AEDを手にした専門のボランティアさんが立っておられた事も思い出しました。また、AED講習会やりたいですね。
【なぜサッカーは「エラー」を記録しないのか…Jリーグ村井チェアマンが「ミスを恐れるな」と繰り返したワケ】(第16回)
〔どの業界にも生業に由来する企業文化がある〕
「【村井】これはJリーグに来る前から考えていたことなんですが、それぞれの業界にはその生業なりわいに由来する企業文化みたいなものがありますね。例えば、銀行。大手三行でそれぞれ個性は違いますが、経済の血液とも言われる極めて高い公共性を求められる金融業界で働く皆さんは、どこかに秩序というものに対するリスペクトがあって、そういう人たちが活躍できる土壌がある。」
「これは例えばエンジニア間のすり合わせ技術、ブルーカラーとホワイトカラーが協働して完成品を作っていく製造業という生業が、チームスポーツと共通の文化の上で成り立っているのではないだろうか。そんなふうに考えていました。」
〔サッカー、そしてJリーグの本質は「ミス」ではないか〕
「Jリーグにやってきた時、Jリーグの生業とはなんだろうかと、改めて考えてみたんです。それでいろいろと突き詰めて考えたら、サッカーというスポーツの本質は「ミス」であるという結論にたどり着きました。」
「ミスが本質のサッカーにエラーの記録はありません。パスミス、シュートミスを何度も乗り越え、90分間ゴールを目指し続けるのがサッカーです。ミスを恐れてシュートを打たなければゴールは生まれませんから、リスクを冒してシュートを打ったり、パスが来ないことがあってもボールの反対側のサイドを何度も駆け上がったりとチャレンジを繰り返す。
大きく心が折れても折れた心をもう一回立て直して立ち上がる。それこそがサッカーという生業ですから、Jリーグもミスをど真ん中に置いて立ち上がっていこう、という意味で「PDMCA(計画、実行、ミス、チェック、修正)」を掲げました。」
サッカーの本質はミスですか、NPBではエラー数はカウントされますが、確かにサッカーではカウントされませんね。やはり欧州がルーツのスポーツにはそういう文化は無いのかもしれません。いいですね、ビジネスシーンで当たり前のように出てくる「PDCAサイクル」に「ミス」を差し込んでおられます。アクションのAではなく、修正(ACT)のAだそうです。このコラムに詳しく書かれています。
という事で、時々「Jの金言」のリスペクト記事を上げていきます。村井さんもこれからいよいよバドミントン協会の改革に本格的に着手となりますね。
村井(前)チェアマン関連⑮:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20230308
〃 ⑭:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20221221
〃 ⑬:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20221120
〃 ⑫:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220716
〃 ⑪:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220520
〃 ⑩:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220502
〃 ⑨:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220403
〃 ⑧:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20220211
〃 ⑦:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20211202
〃 ⑥:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20180721
〃 ⑤:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20160917
〃 ④:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20160206
〃 ③:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20150731
〃 ②:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20141225
〃 ①:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140116
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