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プロヴィンチャとしての誇り8

 リスペクトコラムです。
 先日、NHKで「Jリーグと私 30年の物語」という特番が放映されました。一応最初から目を通しましたが、出てくるのは国立での開幕戦シーンとかお決まりのシーンばかり。長い特番でリスペクトできる目新しいものは無いのかなと思っていると、2つありました。その一つが八戸さんのエピソード。八戸さんは正直、当ブログでは登場頻度が少ないクラブでした。最近J3に来たばかりというのもありますが、なかなかいい事例を目に出来なかったため。ニンニク栽培くらいか。そんな中で、八戸さんをじっくりリスペクトできる内容だったので良かったです。

【Jリーグと私 30年の物語スペシャル】
 リーグの裾野を広げるために奔走する人達の物語。小さな町に生まれたJ3のチームを支える人達の物語。キーワードは「地域密着」。
 青森県初のJクラブ「ヴァンラーレ八戸」。八戸市など16市町村がホームタウン。発足の背景には地域の深刻な問題があった。それが過疎化。県の転出超過数全国1位。特に若い世代が顕著だ。下平賢吾さん(J3八戸社長)、子ども達のためにサッカーができる場所を作りたいと、クラブを立ち上げた。予算と職員数がJ最少クラス。自ら営業に駆け回る。クラブ創設の2006年、地域では子どもの数が足りず、存続できないチームが出てきている。

下平社長(下):子どもたちが(サッカーを)やりたいと言っているのにその環境が無いので何とかしたいという思いがあった。
 最初はJリーグ入りなど考えてもいなかった。しかし、子ども達を育成する中で、この地でプロになれる環境を作ってあげたいと思うようになった。2008年、クラブはJリーグ入りを目指すと宣言。しかし、周りの反応は冷たかった。この地域からJリーグに行ける訳がない、スポンサーはほとんど集まらなかった。
下:スポンサーになるメリットとか、伝えられなかったことが多かった。甘かったなと。本当に何をやってもうまくいかなった。
 東北社会人リーグを戦うチームも苦戦が続いた。1年で下平さんはJリーグ入りを辞める決断をする。そんな下平さんを変えた人がいた。6年前に亡くなった高校時代のサッカー部の恩師、飼牛正親さん。すぐにあきらめようとした下平さんを厳しい言葉をかけた。飼牛に問われたのは、自分がどんなクラブを目指すのかという事だった。

下:自分たちがどの色で進むべきかはっきりした方がいいんじゃない?と言われた。
下平さんがたどり着いた答えが、徹底して地域のために汗をかくクラブになる事。人手不足で困る地域に選手を派遣した。
下:(地域に)なんでもやる、サッカー以外のこともやると伝えて、にんにくの植え付けをしたりとか、空き家調査とか、そういう困りごとというか地域の課題に一緒に取り組みますよと。
 活動を続けると、協力してくれる企業が現れた。
企業社長:これ、砂拾いに来たときの(サインボール)。(選手と)交流して、いいやつらだなってっていうのがありますけれども。
 選手たちの人柄を通じて、スポンサーが増えていった。
企業社長:すごい八戸のことを思ってくれて、がんばってくれるんじゃないかなと感じますね。そこは私らが応援していかなきゃ。

 チームの強化は進み、2018年にJ3昇格を勝ち取った。昨シーズン資金を援助してぅれた企業の数は450にも上った。
下:(スポンサーの)大小にかかわらず、数で支えられているというのは、本当に自分自身誇りに思っています。
 クラブ創設のきっかけになった子ども達の育成。下部組織から2人のJリーガーが誕生した。下平さんは地域のために働くというクラブのように、これからも大切にしていきたいと考えている。
下:もっともっと、この(地域のための)色を濃くしながら、新たなものにチャレンジしていきたい

中田CO:僕らの時って、サッカーをやればいいというのが多少あったのかもしれませんが、やっぱり今は地域密着で地域にどれだけ貢献できるか、地域と一緒にやっていけるか大事になってきている。そういう所を選手にも協力してもらいながら、子ども達に一緒にかかわりながら、一緒になってやっていこうという形ではやってますね。アントラーズも。

 最後の中田COのコメントも良かったですね。鹿島さんももうサッカーだけやって、勝つしかないではなく、地域密着で地域にどれだけ貢献できるか、地域と一矢にやっていけるか大事になっているとあります。まだまだ選手を地域に出したがらないクラブがあれば、見習って欲しいですね。

 いいですね。八戸さんの事がよくわかりました。まさにプロヴィンチャ(地方の小クラブ)にふさわしいクラブです。今まで当ブログでプロヴィンチャといえば甲府さんでしたが、青森県に立派なクラブがありましたね。思えば八戸さんには他のクラブに対して大きなハンディがあると思います。秋春制でも言われている「積雪クラブ」、そして人口の少なさ(青森県:約120万人、八戸市:約22万人)ですか。本当に頑張っておられると思います。

 青森県からJを目指すクラブとしては、古くはアステール青森、今はラインメール青森(JFL)、ブランデュー弘前(地域リーグ)があり、岡山より小さい県なのに結構群雄割拠しています。ちょっとかつての福島県に似ているかな。青森県の地図を見ても面白い、県庁所在地に青森市(人口1位:約27万人)、東の端の八戸市(同2位:22万人)、西部の真ん中に弘前市(同3位:約17万人)と見事に離れています。
 八戸さんの公式HPを見ると、ホームタウンが県東部に寄っています。つまり県民クラブのようで、どうもそうではない様子。青森県面白いですね。

八戸さんの公式HPを見ていると、キーワードは3つありました。
①地域共創パートナー
 資金用途としては、試合運営費、ホームタウン活動サポート、アカデミー支援に充てるようですが、地域貢献パートナーというイメージですね。1口10,000円から20口200,000万円と裾野が広く、手軽にスポンサードを始めやすいと思います。NHKのスポンサー訪問シーンでもこの地域共創パートナーのチラシが映っていました。他にもいわゆる「ご当地選手」の「ホームタウン応援大使」を実施されています。
②SDGs
 公式HPに専用HPがあります。きちんと宣言もされていますね。観ていると、フードドライブやアカデミー育成支援基金の設立、ヴァンラーレサイダー 空き瓶回収キャンペーンなど活発にSDGsの活動をクラブ主催で取り組まれています。
③ヴァンラーレタイム
 ヴァンラーレ八戸のホームタウンであるということを実感し、自分の住む街に対し愛着が更に増すような環境づくり。子供たちに『夢を持ち楽しんで向かうことの大切さ』を伝え、ヴァンラーレ八戸と子どもたちが互いに成長し、それぞれの夢に向かって歩んでいく時間を共有していく活動とあります。
 いわゆる「夢先生」事業のようですが、他にも養護学校サッカー支援、子ども食堂支援など活発にされています。

 やや群雄割拠気味の青森県ですが、上手く地域を盛り上げていって欲しいですね。青森県ではバスケが一つカテゴリが上ですね。青森ワッツが現在B2で戦っています。これからも東北の地から頑張って欲しいと思います。機会があったら「スタミナヴァンたれ」を味わってみたいところ。
J3八戸公式HP:https://vanraure.net/
J3八戸関連:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20221021
#がんばろう日本 #ThankYouHealthcareWorkers #ThankYouCaregivers

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