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「仲座」という稀有な存在

比叡山延暦寺には「仲座」という比叡山の法要の準備を一手に引き受けている、僧侶ではない人たちがいます。得度はしているものの、僧侶ではなく、一般人でもない、延暦寺独自の存在です。この仲座というお役目には1200年以上の歴史があり、読んで字の如く、俗人と僧侶、仏様と僧侶の間に座り、支え続けている存在です。写真の中央のお二人です。

この存在こそが、比叡山を陰で支える支柱なのかと毎回感じさせられるのです。今の仲座さんはお二人います。お二人とも街寺の私にも懇意にしてくださいます。そして、第三者的立場だからこそ、山の住職方に物怖じせずに、意見や要望などを主張して喧々諤々に議論できるのです。
仲座の仕事は言ってしまえば「雑務」にあたるわけですが、この雑務をする人がいなければ、法要は絶対にできないのです。

雑務と言っても、準備、荘厳、法要中の配置、介添え、掛け声、段取り、片付け、在庫整理、仏具管理、修理、発注など、すべての法要関係の仕事を取り仕切っているのです。
僧侶でも知らないことを仲座が把握されていて、法要を円滑に進めているのです。
前回も今回も、私はこの仲座のお手伝いをさせていただきました。
仲座さんたちと一緒にいると、仲座という役がどれだけ大変なのかがわかります。
彼らの体力は底知れず、常に動いています。そして、膨大な過去のデータが頭にインプットされており、間違いや問題があればすぐに指摘します。
それにも関わらず、彼らは喜んでそのお役目を引き受け、重い責任を背負って毎日法要の準備をされています。

この第三者的でありながらも、法要のこと、お山のことを、住職同様に考えている存在がいるからこそ、比叡山はバランスを取りながら引き継がれているのかなとも思うわけです。

しかし、同時に、仲座役を少しだけやらせて頂いて思ったのは、実は、法要の一番の「特等席」に座れるということです。

出仕する僧侶でない限り、これほど近い場所で法要に参加することは出来ないですし、仏様の近くにいられることはあり得ません。
法要中は気を張りながらですが、実は一番の醍醐味を感じられる場所にいられるのも、この仲座というお役目なのだと感じました。だからこそ、使命感が強いのかもしれません。

NHKドキュメンタリー 延暦寺の仲座 『寺を守る縁の下の力持ち』
https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0004990930_00000…

インタビュー記事


比叡山延暦寺 大講堂

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