見出し画像

Petit Brabancon - Automata


DIR EN GREYの京とL'Arc~en~Cielのyukihiro擁するプチブラこと、Petit Brabanconが昨年リリースした1stアルバムの『Fetish』といえば、日に日に多様化していくヘヴィネスを多面的に捉えた「僕が考えた最狂のヘヴィロック」の傑作だったが、約半年ぶりの新作となる本作のEP『Automata』においても、1stアルバムの延長線上にあるプチブラの”らしさ”が凝縮された先行シングルの#6”Miserable”を筆頭に、ニューロマンティックな90年代ヴィジュアル系仕草を現代にアップデイトしたリード曲の#2”孤動”やハードコアとヘヴィロックの目合ひを見せる#3”Loser”、そして90年代のニューメタルを現代的に魔改造した#5”Common destiny”に象徴されるように、プチブラならではのシニカルかつアヴァンギャルドな狂言をデカダンスする。

その各メンバーが所属するバンドの思考回路が一つ一つの歯車として組み込まれた、俗に言う”さおだけ屋ヘヴィロック”は不変、厳密に言えば縦ノリのグルーヴ感溢れる古き良きニューメタルや近年のDIR EN GREYと共振する現代ポストメタルへの憧憬を大きなバックグラウンドとしつつも、一方でモダンな打ち込み要素などのオルタナティブでフレキシブルな感性を兼ね備えたプログレッシブなサウンド・プロダクトも不変ということ。

「Automata」という「からくり人形」を意味するタイトルが示唆するように、近未来の機械都市「東京アンダーグラウンド」で繰り広げられる(GEZANさながらの)機械仕掛けの人形劇の幕開け、そのインダストリアルな歯車が回り始める#1”mind-blow”や、AIアンドロイドが支配するポスト・アポカリプスの奇しくエキゾチカルでSF的な世界観をシニカルにテクノブレイクする#4”surely”、そのacid androidでも活躍するyukihiroが手がけた二つの楽曲が示すように、先述した不変的な部分が大半を占めるその一方で、EPというフォーマットならではの実験的な側面を強調した作風でもある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?