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Della Zyr - Nebulous You


昨年の初めにリリースされた1stアルバムの『Vitamins and Apprehension』が、Bandcamp界隈を中心に話題を呼んだ韓国ソウルの宅録系シンガーソングライター、Della Zyrの同年度末にリリースされたEPの『Nebulous You』は、前作の1stアルバム同様にインディフォークやニューエイジ/アンビエント・ポップの影響下にある、一見ありがちな(サブカルと親和性を持つ)シューゲ・ポップ/ドリーム・ポップなのに、それこそデプレッシブ・ブラックメタルさながらの自傷性を内包したギターの不調和に歪んだ音作りをはじめ、この手のジャンルとは一線を画すスムースな転調を織り込んだプログレスな流動性を以って、10分を超える大作を色鮮やかに彩る構成美と革新的なサウンドメイク、すなわち悪夢や過去のトラウマと隣合わせの鋭利に尖ったZ世代ならではの音楽という意味では、同郷であるParannoulの2ndアルバムとのシンクロ率の高さを示している。

儚くも美しいノスタルジーを運んでくる青春ノイズ・ポップチューンの#1”Constellation’s Song”を皮切りに、まるで「Dream Unending」すなわち「果てしない夢、たまの悪夢」を彷徨うかのような、蜃気楼のように現れては消えるシューゲ然としたウィスパーボイスと、本作のコンセプトである「曖昧さ」を伴う幻想的なイーサリアリズムに時間を忘れて引き込まれる#2”Concerto”、まるでTrespassers WilliamとGrouperとmacaroomがエクストリーム合体したような宅録系らしい内省的なアンビエント・フォークの#3”What Orpheus Sang Before”、トクマルシューゴさながらのクラシカルでありながらもモダンなアプローチが虹色に光る#4”Autumn: Nebulous You”まで、まさに「曖昧さ」の美学を突き詰めたような抽象的なアート・ポップは、とにかく自分の好きな要素が詰まりすぎてて最高だし、改めてParannoulの周囲には才能の塊しかいない説に信憑性が増した。ちなみに、本作の#1,#2,#4にはParannoulがボーカルで参加している。

前作のParannoulリスペクトかと思わしき日本語サンプリング演出しかり、何かと日本に所縁のある音楽家の一人なのは確かなので、盟友のParannoulとBrokenTeeth、そしてAsian Glowと一緒に来日公演してもろて(そう遠くない未来に実現しそう)。

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