Ne Obliviscaris - Exul
ネ・バブリシャスことNe Obliviscarisといえば、2017年にリリースされた前作の4thアルバム『Urn』は過去作の焼き直し、つまりネタ切れを感じて自分でも驚くぐらい刺さらなくて、それ以来のフルアルバムとなる本作の5thアルバム『Exul』も同様に不安視していたのも事実だネ。
では、ネのモデルケースで知られる中期Opeth(イェンス時代)の影響下にある初期の方向性に回帰しているかと聞かれたら、それはそれでまた違うネ。ネの持ち味となるブラストビートにトレモロ・リフと妖艶なクリーンボイスを載せて一辺倒に突っ走る、JRPGよろしく超絶ウホウホエピックな構成力で紡ぎ出される壮大なメロブラではなくネ、近年のCynicやVoivodさながらのタイトでソリッドな弾力のあるキザミ、それこそ”黄金のキザミ”に肉薄する低域をジュクジュクと細やかに刻むキザミとジャズ/フュージョン的なインテリジェンスを以って理知的に楽曲を組み立てながらネ、ミドルラインのテンポで勝負(ソングライティング)している事に好感しか覚えないネ。
確かに、2ndアルバム『Portal of I』や3rdアルバム『Citadel』における組曲”Painters of the Tempest”並のキラーチューンはないかもしれないネ。しかし、UKデスメタル/テクニカル・スラッシュの新星ATVMをはじめとする20年代の新世代デスメタルからの影響を感じる強度マシマシのメタルパートと、いわゆる死にゲーの代名詞であるフロムゲーのステージにありがちな、不気味な洋館で執り行われる仮面舞踏会を優雅に彩るストリングス隊のクラシカルなパートとのコントラストは、真のエクストリーム・メタルとしてより近い距離で共鳴しているネ。
いわゆる「あなたの知らない黄金のキザミの世界」に新たに入門してきたキザミ精神と壮麗優美なストリングスの邂逅は、メタル史上「初」の可能性、その点からも完全復活したと断言できる「Ne is Back…」感しかない一枚。