Elder - Innate Passage
現在はドイツのベルリンを拠点に活動する、USマサチューセッツはフェアヘイブン出身のElderといえば、自分の中では前作の『Omens』においてアート・ロックとして覚醒したバンドという認識が強い…というのも前作の『Omens』は、00年代にネオ・プログレッシブロックの旗手として活躍した、UKバンドのPRRことPure Reason Revolutionの意志を受け継ぐかのようなアート・ロックの傑作だった。
約二年ぶりとなる本作の6thアルバム『Innate Passage』は、その前作で培ったアート・ロックとしてのリリカルな気質をまといながら、従来型のストーナー/サイケデリック・ロックとプログレッシブ・ロックを行き来する、Baronessさながらの大胆不敵なヘヴィロックへの回帰を果たしている。
ヘヴィロックならではの重厚なヘヴィネス轟くダイナミズムとアート・ロック然としたリリカルなメロディがプログレスに調和する”らしい”が過ぎる#1”Catastasis”を皮切りに、テクニカルという意味でのプログレッシブな技巧派バンドの側面を垣間見せる#2”Endless Return”、そしてデフヘヴンやモグワイに肉薄するアルペジオの湿り気のある内省的なメロディセンス、および現代ポストメタルとシンクロする「Elderなりの”黄金のキザミ”」を会得したインテリジェンスなリフメイクが織りなす、15分弱に及ぶ大作の#4”Merged in Dreams - Ne Plus Ultra”は本作のハイライトで、とにかく老舗バンド特有の実家のような安心感と絶対的な信頼感、俄然バンドとしての円熟味が増しに増した良盤です。
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