不動産取引と婚活の共通点
不動産取引と婚活には共通点があると考えている。
不動産取引も婚活も、そのビジネスモデルは『マッチング』だ。
売りたい人と買いたい人をマッチングさせる役割を果たすのが不動産の場合は不動産会社だし、婚活の場合は結婚相談所になる。
不動産会社は不動産購入希望者のニーズにあった物件を紹介し、売主と買主をつなぐことで仲介手数料をいただいている。
結婚相談所は結婚相手を探している人同士を紹介し、結婚の約束を取り付けることで成婚料をいただいている。
マッチングにたいして対価をもらうという点が共通している。
ただし、マッチングするだけの仕事であれば不動産取引や婚活以外にも該当する職業はたくさんある。
実は、ぼくが不動産取引と婚活の共通点として指摘したいのは『マッチング』機能ではない。
そうではなくて、『両者ともに優良物件は未公開のまま取引が成立するという事実』だ。
不動産取引の仕組み
不動産の購入希望者が最初に見るのはSUUMOとかアットホームといった不動産ポータルサイトだろう。
不動産初心者は全ての売り物件がWeb上に掲載されていると信じている。
でも、現実は逆で、大多数の物件はWebに公開される前に、『未公開物件』として取引が成立している。
そして、売れ残り物件だけがWeb上で公開物件として陳列されている。
物件が公開されることなく、未公開の状態で取引が完結しているのは、不動産仲介独特の仕組みのせいである。
基本的に売主が不動産会社に不動産売却の依頼を行う場合、媒介契約を締結する。
媒介契約には一般媒介と専任媒介の2種類がある。
一般媒介は売主は複数の不動産会社に売却を依頼できる契約形態のこと。
専任媒介は売主は一つの不動産会社にだけ専任で売却を依頼できる契約形態のことである。
一般媒介だと他社で仲介されてしまう可能性があるため、ほとんどの不動産会社は専任媒介で売却を引き受ける。
専任媒介で引き受けた場合は、不動産会社は基本的にレインズという業者間の物件情報サイトに売り物件を公開する必要がある。
ただし、不動産会社は媒介契約から7営業日以内に公開すれば良いという猶予期間が設けられている。
不動産会社はこの猶予期間7営業日の間に、最大限のネットワークを使って買主を探す。
自分で買主を探すことができれば、売主と買主の両方から仲介手数料を稼ぐことができるからだ。
そしてお買い得な優良物件はこの7日間の猶予期間の間に買手が見つかり売れてしまうという現実がある。
つまり優良物件は未公開物件として取引が完結され、表のマーケット(市場)に公開されることはない。
マーケットに公開されている物件は不動産会社が猶予期間に買手を見つけることができなかった売れ残り物件である。
そして不動産取引において流通している物件の8割は未公開物件として取引が完結し、残りの2割だけが公開されているといわれる。
婚活の仕組み
婚活においても、多くの物件は未公開のまま取引が終了している。
ここでは結婚相手のことを『物件』と野卑な呼び方をすることを許してほしい。
婚活市場においても、ほとんどの『物件』は結婚相談所に登録されることなく、『未公開物件』として取引が完了している。
自分の親や既に結婚している友人に聞いてみるとよく分かるけど、婚活アプリや結婚相談所経由でパートナーを見つけている人は少数派だ。
ほとんどの既婚者は学校や職場といった自分が所属しているコミュニティの中からパートナーを探し出している。
もしくは友達の紹介や合コンだ。
これはいわゆるモテる人ほどこの傾向が強い。
実際にぼくの周りのモテる人々はほぼ間違いなく結婚相談所を頼ることなくパートナーを見つけている。
このように多くのモテる人たちは水面下で婚活を終え、パートナーと結婚している。
そして、不幸にも未公開物件のままでは売れ残った人たちが結婚紹介所というマーケットでお披露目されることになる。
未公開物件を狙え
公開物件の大半は残念ながら売れ残り物件だ。
ごくたまに手つかずの『優良物件』がマーケットに出てくることがあるが、瞬間的に買付が殺到するため競争に打ち勝つことは難しい。
公開マーケットで優良物件を購入するためには、不動産だったら一日中不動産ポータルサイトをチェックしないといけない。
婚活の場合は、一日中婚活アプリをチェックする必要がある。
そして運良く優良物件を見つけられたとしても、強力なライバルに競り勝てる戦闘力が必要になる。
多くの社会人は毎日ネットをチェックする時間はないだろうし、優良物件を見つけてもライバルを蹴落とせるほど戦闘力は高くないだろう。
そうなると、不動産も婚活も、優良物件を手に入れたいと思ったら、未公開物件を狙っていく必要がある。
不動産だったら、地元の不動産会社と人脈を築き、少しでも多く未公開物件を紹介してもらうしかない。
婚活だったら、できるだけ多くの出会いの場に参加し、少しでも多くの未公開物件と巡り合うしかない。
ちなみにぼくはモテないが、合コンで奥さんを見つけることができた。
ドラゴンボールでいうとサイバイマン並の戦闘力しかないぼくが合コンで奥さんを見つけることができたのは奥さんがまだ未公開物件だったからだ。
ぼくがもし結婚紹介所という公開マーケットで戦っていたら、ライバルたちに太刀打ちできなかっただろう。
このように未公開物件に出会うためには、昔ながらの人脈が大切になる。
ネット全盛の時代ではあるけど、全ての情報がネットに掲載されているわけじゃない。
特に不動産と婚活においては、物件の大半はネットに公開される前に成約してしまう。
楽してネットで見つけようとせずに、人脈を開拓する努力が必要なのだ。
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