屋根語り フランスで気がついた30の事 その8
建物 屋根
素材はレンガのように赤い。(以下、洋瓦と呼ぼう。)
日本で言えば和瓦である。と言っても、洋瓦は2種類位みたいだ。
平場の形と角の丸い形、その2種類。
日本に比べると種類は格段に少ない。
その分シンプルになって素朴な感じが表出されていた。
屋根の下地は木製、梁は堅木、胡桃林があるので、オークかな。
ちょうど隣の家が屋根の工事をやっていて、(狙ったように工事をしてくれてありがとう。勉強になりました笑)
水平に梁を飛ばして、トラスを組んで、屋根を構成している。
屋根面には横桟を流し、そこに洋瓦を引っ掛けて乗せていく。日本のように防水シート等は無い。
また、屋根面の所々に口を開けた換気口が見られた。日本では風があり、絶対的に吹き込むので、棟や軒先についている。(もちろん雨が入りにくい構造ではある。)
不思議に思うが、屋根面の換気口を効率よく取っているのだろう。
出歩いた色々な村で、ちょうどよく屋根工事をやっていたので、(ありがたい!)いろいろな現場を見ることができた。
やり方も色々で、一部残す場合は、半分屋根材を乗せて下地を作り、半分屋根材を乗せて、、と段階を追うような工事方法も見られた。
日本の現場にはない道具。
日本では、瓦をラダーのようなものであげるが、ヨーロッパでは重機で上げているようだった。楽だね。
ところ、変われば道具も全て変わる。
滞在していた村は朝の寒暖差がすごく霧、モヤもすごい。そして屋根は見事なほどに苔むしていた。
洋瓦の赤と、緑のコントラストが、非常に綺麗だなぁーと思った。
瓦って何十年も持つし、屋根から壁から、石の家は無敵か!といえばそうでもなく、
結局は水のある屋根からダメになってしまったら劣化していくのだなぁと。それは万国共通で、建物がダメになるのは、基本屋根からのようだ。
旅行の最後の方で、パリ市内のホテルでテレビを眺めていたら、物騒ではあるが、火事のニュース現場を見ることがあった
焼け落ちたのは、屋根だけで、壁はそのまま。
日本の木造住宅ではあれば、すべてマル焦げで何も残らないが、石の壁の建物が火事になれば、壁はそのまま、というすごい不思議な絵を見ることができた。
とは言え、室内が丸焦げであれば生活はできないであろう。。。
そしてなんといっても、日本のように軒の出ではなく、箱のような姿をしているのも特徴的である。
逆に軒を出しているのは、製材小屋や牛の爪を切るための小屋の木が出ているのが目についた。
作業のためであろう。
総合して、合理的な姿ではあるものの、
日本の水平さのない建物形状ではあるが、シンプルで素朴な姿が可愛らしい。
ヨーロッパの建築で屋根を語るのは、ちょっと恥ずかしいなぁというのがあるので、やっぱり壁、壁、壁の建築であった。