フィリピン想い出話パート2
フィリピンの想い出:パート2
昔話をあれこれ言うのは老害の兆候。まあわかってるけど、いまに繋がる素敵な話なのでお許しを。
一回目の某写真誌フィリピン取材で一緒に某女優の実家ラスピニアスに行った旧友のU氏。その時の現場の撮影は私がやったが、彼は優秀な映像カメラマンだった。当時はそこは田舎で真っ暗闇の中、彼の車を飛ばして行ったの鮮明に覚えてる。色々あったが何とか無事取材が終わって空港で別れて帰国した一週間後、朝の新聞を見て私は驚いた。
「マニラのスモーキーマウンテンで日本人カメラマン銃撃される!」
なんとU氏がNHKの番組取材中、スモーキーマウンテンで開発反対の現地住民と警察官の対立を撮影中、至近距離から現地警察官の流れ弾?で撃たれたのだ。弾は脾臓付近を貫通し瀕死の重傷だった。撃たれた背景など複雑な裏話も一杯あるが、それはまた別の機会として、何ヶ月も死の淵を彷徨ったU氏は脾臓を摘出、何とか生還した。しかし体力勝負のカメラマンとしての復活の道はたたれてしまった。その後東京で会ったり二回目の取材でも色々お世話になったり、3回目の取材も彼の後輩コーディネーターを紹介してもらっりした。そしてあっという間に月日が流れたが、漸く3回目の取材で本当に久しぶりにマニラで再会できたのだ。
再会したU氏は生きる道を変え、色々なビジネスで大成功していた。しかも現地日本語新聞も買収、立派な劇場も持ち、スモーキーマウンテンの孤児達を集めてミュージカル劇団も作っていた。そして本職だったドキュメンタリー映画も監督として制作し、フィリピン版アカデミー賞も受賞した。
昔一緒に仕事した人間として誇らしいし、こんなに嬉しい事もない。人間は死を意識した時ほど本当に逞しくも素直にもなれるんだろう。私などまだまだ修行が足りないとつくづく思う。
今朝の読売新聞にも紹介されてるが、そのU氏のドキュメンタリー映画「子供の瞳を見つめて」が来週4月29日から新宿「k‘sシネマ」でロードショー公開されるので是非、皆さん観に行って欲しい。
製作者にも映像にも一点の曇もない本当のドキュメンタリー映画です。
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