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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第28回 新規で農業事業を成功させるには?(その3:ローコストで経済的に「太陽光利用型植物工場」を運営する秘策)

今回も可視化させた農業事業をみていきましょう。
前号で述べた最もリスクが少ないベストな新規参入の条件条件をベースにした、ローコストで経済的に「太陽光利用型植物工場」を運営するためのノウハウを解説します。

「太陽光利用型植物工場」の定義

「太陽光利用型植物工場」とは、ビニールやガラス温室などの半閉鎖空間において、太陽光の利用を基本とした制御下の環境で植物を生産する施設のことを指します。例えば、かん水、温度、光、二酸化炭素など、植物の生長に必要な要素を自動制御できる仕組みを導入している場合、「太陽光利用型植物工場」と定義することができます。オーストラリアでは、この仕組みを取り入れたガラスハウス型の大規模な「太陽光利用型植物工場」が主流となっています。

自動化の必要性

オーストラリアを始めとする海外で、植物工場事業を成功に導くには、栽培システムの自動化は、人件費削減のため、現地で自動化による大規模生産を可能にしている競合他社と同じ土俵に立つためにも必須の条件となります。

新規参入で植物工場事業を始める場合、まず自動化が必要と考えられる項目は、かん水、温度・光の調整となります。ただ、運用資金面で余裕がある場合は、二酸化炭素や湿度を自動調整するシステムも取り入れるようにします。
自動化により、人件費の大幅な削減が可能です。以下の表は、マニュアル(手動)と自動化の比較を作業内容から人件費まで可視化したものです。

  作業「かん水、温度・光の調整」のマニュアル化と自動化の比較
※条件 (一例):ビニールハウスで葉物野菜を0.1ha(1000m2)で栽培。時給$27の作業員を数人雇う事業の場合。

同表を紐解くと、水やりを自動化するだけで、年間約3万ドル(※0.1haの場合)以上のコスト削減が実現できます。また規模が大きくなればなるほど、コストが跳ね上がるため、潅水システムの自動化をすることが最優先事項となることが分かります。

日本の3倍近くの時間給が求められるオーストラリアの生産者は、必然的に自動化せざる得ない環境下にあり、日本と比較しても自動化するノウハウが優れていると言えます。また、自動化にプラスαとして、無駄を省くためのトヨタ生産方式に近い仕組みを取り入れることにより、大幅なコスト削減が期待できます(例:作業者の無駄な一歩=一秒のロス)。

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