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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第57回 投資先として有望な「植物工場」事業の見分け方 ~差別化と市場洞察~

植物工場事業は、前回解説した通りイニシャル~ランニングコストが高く、投資回収に苦労するケースも多いことが課題です。また同事業の多くが新参ビジネスで、昔ながらの農産物市場に新たな市場を切り開く必要があり、困難を極める場合があります。このような状況下では、投資する企業が商材である「野菜」の差別化に重きを置いているか否かが、投資価値の判断に重要な役割を果たします。では他社との差をつける要素とどのような企業に投資すべきかを考えてみましょう。

投資を検討する際には、企業のPR・マーケティング戦略が市場のニーズに適切に対応しているかを評価することが肝要です。

一般的な植物企業が投資家にPRするポイントは、「安心・安全(無農薬)、長期保存、節水型、地産地消が可能」な点などが挙げられます。そのため、環境ビジネスとしてのESG投資の一環として、注目されています。しかしこれらの特徴はほとんどの企業がPRするポイントでもあり、差別化が難しい状況です。

市場のトレンドを把握する

そこで差別化された「野菜」の商品価値をPRすることが必須となります。まずは市場トレンドを把握した、常に商品開発に注力するマーケティング担当者の存在が事業運営では不可欠で、新たな商品を開発し市場ニーズに応えることが求められます。これにより、顧客の支持を得て、事業の成長を促進することができます。
将来的な成功を収めるためには、市場のトレンドを把握し、製品開発に積極的に取り組む企業に投資することが重要です。
植物工場の野菜販売に効果的なPR・販売手法の一つは、ネガティブな側面をポジティブな販売ポイントに変えることです。ただ単に「世界で一番美味しい野菜」とPRしても、あなたの商品に関心が持たれることはありません。そこで特定の健康問題のネガティブな側面を、ポジティブに変える野菜製品を提供することで、ニッチな市場を効果的に開拓できるのです。

例えば、水耕栽培で肥料をコントロールすることで、低カリウムの野菜を育て、慢性疾患である腎臓病の人も生野菜を思う存分食べられる野菜が挙げられます。

イメージ出所:秋田県立大学ウェブサイト
秋田県立大学で開発された「低カリウムレタス」 将来的な成功を収めるためには、
市場のトレンドを把握し、製品開発に積極的に取り組む企業に投資することが重要です。

日本や豪州などで腎臓病の患者が多いことが知られています。こうした市場で低カリウム野菜を生産することで、透析患者にとっての選択肢を広げることができます。競争力を高めることが可能で、差別化の良い例と言えます。

参考情報

私がオーストラリアで参画した植物工場(葉物野菜:マイクロハーブ等)プロジェクト一例:


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