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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第29回 新規で農業事業を成功させるには?その4:ローコストで経済的な「太陽光利用型植物工場」の自動化設備のノウハウ

今回は、前号で考察した設備、特に温度の調整を自動化するためのノウハウについて解説します。施設内の温度を調整するには、天窓やサイドの窓の開閉、スプリンクラーによるかん水(細霧冷房)、遮光カーテンやファンなど、いくつかの設備を一つ、あるいは同時に動かすことで温度の上げ下げを行います。

温度を制御するための天窓の自動開閉

温度を制御するための天窓の自動開閉(PRIVAソフトのメインサーバの設定画面の一例)
ハウス内の環境制御センサー:リアルタイムで温度、光度、湿度、二酸化炭素濃度を計測

どのように温度の自動制御設定をするのか?

これらの設備の管理には、メインサーバーが用いられます。メインサーバには、環境制御センサーからリアルタイムの環境データが送られ、事前に設定された栽培に適した温度を始めとする環境条件を基に、ハウス内の環境がコントロールされます。

例えば、日中の場合、最高温度を24.5℃に保つために天窓の開閉が繰り返されます。逆に、日中に最低温度が21℃を下回った場合、天窓が自動で閉まります。

システム構成

  • 温度センサー: 室内の温度を測定します。

  • 制御装置: 温度センサーからの信号に基づいて天窓の開閉を制御します。

  • 天窓: 室内の温度を調整するために開閉されます。

動作手順

  1. 温度センサーが室内の温度を測定します。

  2. 制御装置は、測定された温度と設定された目標温度を比較します。

  3. 目標温度よりも室温が高い場合、制御装置は天窓を開きます。

  4. 目標温度よりも室温が低い場合、制御装置は天窓を閉じます。

利点

  • 室内の温度を自動的に制御できるため、快適な環境を維持できます。

  • エネルギーを節約できます。

  • 手動で窓を開閉する必要がないため、便利です。

栽培施設内で自動化できる設備とは?

栽培施設内で自動化できる設備の事例(※定義されている以外の用途で使う場合あり)

・天窓開閉:温室内の天窓を自動的に開閉するシステムです。これにより、換気と温度調整が行われます。

・遮光カーテン:温室内の遮光カーテンを自動的に開閉するシステムです。これにより、温室内の光量(太陽光)を自動的に調整し、温度調整、植物の光合成を促進し、成長を促進します。

・サイド開閉:温室の側面の通風口を自動的に開閉するシステムです。これにより、換気と温度、湿度の調整が行われます。

・スプリンクラー:温室内の植物に自動的に水を散水するかん水システムです。これにより、植物の水分補給と成長が促進されます。また、夏場は細霧冷房として活用可能です。

・ファン:温室内の空気を循環させるシステムです。これにより、換気と温度調整が行われます。

・二酸化炭素の調整:噴射器(オプション):温室内の二酸化炭素濃度を自動的に調整するシステムです。これにより、植物の光合成を促進し、成長を促進します。

自動化設備の導入メリット

  • 植物の生育を促進

  • 病害虫の発生を抑える

  • 労働コストを削減

自動化設備の導入デメリット

  • 初期投資費用が高い

  • メンテナンスが必要

自動化設備の導入を検討する場合の考慮事項

  • 栽培する植物の種類

  • 栽培施設の規模

  • 予算

  • 人手

太陽光・外気温の影響を受けやすい「太陽光利用型植物工場」は、安易に自動化ができない現実がある?

自動化は、設置してすぐに実現できるものではありません。栽培場所の気象条件を十分に理解し、一連の栽培サイクル(播種~定植~収穫)を経験した後で初めて実現可能です。太陽光利用型植物工場の場合、「3割は経験値を基にした環境データ」+「7割はすでに公になっている環境データ」を基に自動化が実現できます。

また、ハウス内の温度を自動化設定する場合、ランニングコストの削減を常に念頭に置く必要があります。

特に冬場のコスト削減方法

特に冬場は、昼間に温まったハウス内の蓄熱を暖房の代替えとして活用することで、大幅なランニングコスト削減が実現できます。そのためには、昼間に栽培作物に影響がない程度に(生育ステージに応じた温度条件を理解する)最大限にハウス内の温度を上げます。例えば、外気温が10℃前後でも、天窓を閉めて太陽光を利用することでハウス内は30℃近くになります。この蓄熱を利用し、夜間に極力暖房を使わないようにします。

まとめ

今回紹介した自動化設備の導入は、初期投資こそ高いものの、長期的には労働コストの削減や植物の成長促進、病害虫の抑制など、多くのメリットがあります。施設の規模や栽培する植物の種類に応じて最適な設備を選び、効率的な栽培を目指しましょう。

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