歯科医師国家試験の勉強法vol.1:必修編
「上位で合格したい!」という人向けではありません。「順位はいいから、とにかく合格したい!」という人向けです。
とはいえ、勉強法というものは、学問に王道なしというように各個人に合う合わないがございますから、あくまで筆者本人の主観と筆者&同級生の体験、および一般的な勉強の傾向を参考にした、ワンオブゼム的な勉強法だとお考えください。
【前提知識】(知ってたらとばしていただいてOK)
近年の歯科医師国家試験の必修領域というものは、
「80問中80%(つまり64問/80問、16ミスまで許容)の正答率で合格とする」
という、歯科医師国家試験の1つの領域であり合格基準です。
現実的な話をすれば、毎年必ず数問は削除となりますから、直近の傾向からすると62問/80問正答(18ミスまで)あたりまでは合格圏内となります。必修領域で削除となった問題は、正答者にはそのまま加点、誤答者の成績からは完全削除なので、どう転んでもマイナスにはたらくことはありません。19,20ミスまでいくと危険域、その年の難易度如何によりますね。
必修問題は一般的に、A問題~D問題の問題番号1~20までと言われております。しかしながら、厚労省の資料にはどこにもそんなことは書いてありませんので、真実は国家試験委員の先生方しか知り得ません。とはいえ、予備校の自己採点サービスの結果と実際の結果とのズレがほぼ無いことから、おそらく問題番号1~20の大半であることは間違いないと推測されます。
ところで必修問題とは具体的にどんな問題かと申しますと、歯科医師国家試験出題基準によれば、
「必修問題は、歯科医師として必ず具有すべき基本的な最低限度の知識及び技能を有する者を識別する目的で出題されており、引き続き絶対基準での評価を継続する。 」
とのこと。要約すると、
「歯科医師になるなら最低限これくらいは知っておいてね!理解しておいてね!」
という問題であるとされています。
問題形式は「~1つ選べ(Aタイプとやら)」あるいは「~2つ選べ(X2タイプとやら)」で、出題の割合は前者が大きいです(2024年、117回現在)。
「最低限度」と言うだけあり、私の主観では比較的簡単な問題が多い印象です。ただし、単に知ってるか知らないかの問題(推測・消去法が難しい)低学年で習うような基礎知識の問題、教科書から引用した定義を問う問題、英文問題などが紛れているため、ちょっと独特な雰囲気の問題であるという側面もあります。この辺りが、「必修=簡単ではない!」という言説が一部には蔓延る要因かとも思われます。あとは、プレッシャーですね、必修が難しいと感じる要因となりうるのは。
個人的には、「これが最低限…?本当か…?」という問題も例年何問か紛れています。とはいえ、このような問題はほぼ削除になりますから気にしないでください。
長くなりすみません。
では、どうするか?というお話。
Task.1:まず「全問当てよう」という心構えを捨てる
大切な「心構え」のお話です。
【前提知識】で述べさせていただいた通り、必修問題にはやや独特な雰囲気の問題が紛れています。さらに、削除となるような難易度の高い問題も紛れています。これらの問題は、成績上位組へお譲りましょう。ここまで抜かりなくコツコツと勉強してきた人へのボーナスです。
逆に、成績的にギリギリの人が「ここまで知らないと必修領域はダメだ!」と思い込み深掘りしすぎると失敗します。特に過去問を解いていると、知らず知らずの内にその思考に陥ることがあります。つきつめれば、教科書の丸暗記につながる発想であり、できる人ならよいのですが、一般人にとっては危険です。
要は完璧主義はやめよう!ということです。これを定期的に思い出してください。80問中16問もミスれるんだろ?(なんなら18問ミスまでokだろ?)という思考に切り替えてください。
Task.2:5年分の国家試験の過去問を解き、段階的に周辺知識をインプット&アウトプットする
まずは必修問題の過去問に取り組む(Answerシリーズでも歯科国試実践シリーズでも、その他でも構いません)。5年分となると、それだけで80問×5年分=400問となり、実はこれをこなすことは容易ではありません。とりわけ、周辺知識をも学ぼうとすれば。これが簡単ですぐ終わるという方は、下地がしっかりしている、読解力&記憶能力が高い、そもそも「できた」の程度が低いかのいずれかあるいはその組み合わせです。
さて、ここで問題となるのが、「周辺知識を学ぶって、どこまでやればいいの?」ということです。結論から言えば、
①取り組んでいる過去問集のポイント集(小まとめ)を全部覚えきるまでやってください(完璧主義やめろと言いましたが、まあここは最低限度だと思って)
②選択肢を見てこの選択肢はなぜダメなのかを自分で説明できるまでやってください
あたりを目安にしてください。
どうしても理解できない部分は、教科書を軽く読んでください。
続いて、一般問題(総論、各論一般と呼ばれる問題)の過去問について、同じことを行ってください。
この問題数、概算で(総論100問+各論一般80問)×5年分=900問あります。
ちなみに、各論一般と各論臨実の見分け方ですが、完全な基準は提示できません。1つの参考として、
①年齢、主訴が書いてある(例:◯◯歳男性)
②歯周組織検査などのデータがついている
③写真・画像がついている
④対応法が問われていて、単なる診断名が問われる問題ではない
これら①②④、または①③④の全てを満たしていれば、各論臨実問題である可能性が高いです。これらを解くこともプラスにはなるのですが、各論臨実はデータを元に判断・推測するという点で少し毛色が異なります。必修対策だけなら後回しで。
国家試験の過去問を解いていると、総論あるいは各論一般の問題を改変して、必修問題として出題している場合があることに気がつきます。
ここまでで、問題総数は1300問ほどです。
Task.3:さらにその過去5年分の国家試験の過去問について、Task.2と同じことを行う
Task.2をご参照ください。
ここまでやると、問題総数は2600問ほどです。
ワァ!
以上です。
「過去問やっただけやんけワレェ!」と突っ込まれそうですが、だって模擬でもなく予想でもなく、実際に国家試験委員の先生方が作られた本物の国家試験ですよ。これが一番参考になります。一般的に、過去問というのは最高の教材ですから。共通テスト(センター試験)を思い出してみてください、過去問より各予備校のパック問題(模擬or予想)を優先する人は割合としては小さいと思われます。
さらに言えば、この時点で約2600問分の問題とその周辺知識を身につけているわけですから、割とすごい量ですよ。
成績優秀者の方が真面目にやれば、1ヶ月あれば終わるでしょう。しかし、成績にちょっと難のある学生からすれば、けっこう大変ですよ。改めて、本記事は「順位はいいから、とにかく合格したい!」という人向けです。
【補足】
10年分がしんどい、と思う方はまず5年分から(約1300問)、Task.2のみからどうぞ。
力試しをしたい!という方は、予備校の必修模試をどうぞ。
とりわけ衛生学など、「昔は◯◯だったけど、今はデータが違う」などの問題については、ちゃんとした予備校の過去問集ならば解説してくれているはずなので、あまりご心配無く。
駄文にお付き合いいただき、深く感謝いたします。
みなさまのご活躍を心から祈念しております2024年3月8日現在)。
※追記、修正を時折行います。その際は、日付を付記いたします。
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