見出し画像

【GWA2024ファイナリスト】「学びを止めていませんか?」入社1年目新人ウエディングプランナーの結婚式奮闘記

こんにちは!K-POP大好き、レッツジョイン公式note編集部の安部です。

今回はウエディングプランナーの全国大会「グッドウエディングアワード(以下GWA)」でファイナリストに選出された、大沼千尋さんにお話をお聞きしました。

全国からの数百の応募の中から選ばれた
ファイナリスト8名(右下が大沼さん)

GOOD WEDDING AWARDとは

ウエディングプランナーを対象とした、「いい結婚式」のプランニングコンテスト。

このコンテストでは、具体的なアイデアやプランニングスキルだけでなく、さまざまなハードルをどのようにして越えたか、またどのように新郎新婦を理解し、どのような想いでふたりの結婚式を実現したのか、その熱い想いの部分も審査の対象といたします。

ブライダル総研ホームページより

大沼さんはなんと入社1年目!中学校の体育の先生からウエディングプランナーに転職したという異例の経歴をもつ「超大型新人」です。

そんな超大型新人の大沼さんの半生についてはこちらもご覧ください。

今の結婚式の様子や結婚式に携わるお仕事に興味がある方、人とうまくコミュニケーションをとりたい方はぜひ最後までご覧ください!

教員をしていたこともあり
入社1年目ながら貫禄がある大沼さん

当日の朝、発表原稿が完成していない!?夜行バスで現れた救世主

ーグッドウエディングアワード、本当にお疲れ様でした!入社1年目ですごい快挙ですね。当日は緊張しましたか?

今回、会場に行くのも初めてだったのですごく緊張しました。特に緊張したのがレッドカーペットの入場(笑)。新郎新婦様がバージンロードを歩くときの気持ちを味わいましたね。

緊張していたそうですが
会社の応援団を見つけて笑顔の大沼さん

GWAの裏話をすると、実は当日のリハーサルの時点で発表原稿が完成していなかったんです。いろんな方のアドバイスを聞いていたら、自分でも何が言いたいのかわからなくなってしまって。

そんな私を見て、当日の朝、上司の上條さんが山形から東京まで夜行バスで駆けつけてくれたんです。会場近くのレンタル会議室で練習をして、そこでやっと完成して。その朝練がなかったらダメダメでしたね。

出発前に上條さんが「よし、大沼ちゃん朝練すっぞ」って言っていたんですけど、冗談だと思っていたんです(笑)。

第7回GWAグランプリ
偉大な上司の上條智広さん

ー私も会場に応援に行ったのですが、発表ですごく楽しそうな感じが伝わってきて大沼さんらしいなと思いました。

上條さんに「もっと大沼ちゃんらしさを出したい、いつもの事務所で喋ってる感じでいいんだよ」って言ってもらえたので、今回のプレゼンテーションも「ちょっと聞いてください、こんなことがあったんですよ」って雑談している感じにしました。私らしさを思う存分出せたかなと思います。

持ち時間10分で結婚式にかけた想いを発表
オンラインでも配信されました
緊張を一切感じさせない
素晴らしいプレゼンテーションでした!

入社1年目の私に出された難問「“前代未聞”の結婚式がしたい!」

ー発表では、おふたりに進行を提案するまでの大沼さんの葛藤が印象的でした。

今回発表に登場したカップルは、お酒が大好きな楽しい方たちで。そんなおふたりから一番最初の打ち合わせのときに言われた言葉が、「”前代未聞”の結婚式がしたい」。この言葉を聞いて、私は一瞬固まりました。

前代未聞…これまでに聞いたこともないような珍しく変わったこと。

引用:goo辞書
打ち合わせには毎回タクシーでいらっしゃり
飲んで帰るのがお決まりのおふたり

なぜ固まったのかというと、実は私、このときウエディングプランナーとしてデビューしたばかりで、この結婚式が私の初担当の結婚式だったんです。

つまり前代未聞も何も、スタンダードな結婚式すらやったことがなかったんです!(おふたりは大沼さんが新人ということを知りませんでした。)

でも私は責任感の塊のような人間。結婚式はおふたりの人生の一大イベントで、それを創るにはおふたりの人生を背負うくらいの覚悟がいると思っているんです。

そして初担当ということもあり、そのときの私のやる気はマックス。おふたりの想い、絶対に叶えなきゃという気持ちでした。

なので「前代未聞」と聞き、「やりましょう!!」と即答。

「新郎新婦入場!」……。そんなの前代未聞じゃない!
おふたりがフラワーシャワーで出迎える「ゲスト入場!!」

でも、打ち合わせが終わって事務所に戻ると(いや待てよ、前代未聞ってなんだ!私にできるのか??んーーでもやるっきゃない!でも不安だ……。)と感情がジェットコースターに(笑)。

最終的にはひとりで悩んでいてもしょうがない!と、同僚プランナーにお願いしてお客様との打ち合わせに同席したり、同僚をお客様に見立ててカウンセリングをし、進行づくりの練習をしたりしました。

演出についてもほかのプランナーに相談しながら、おふたりの話を思い出しながら演出を当てはめていき、ついに進行が完成。

ほっとしたのも束の間、私の頭の中のもう一人の私がささやきます。「これって2人に合っているのかな、これって前代未聞なのかな…」

堅苦しい祝辞はなしですぐに乾杯!

やっと完成した進行。でもおふたりがしたいことってこれなのかな…?

そのときの私は、とにかく進行を作るということしか頭にありませんでした。

でもおふたりの言っていた「前代未聞」とはどうもずれている気がして、上司の上條さんに相談してみることに。それが進行提案の3日前でした。

すると上條さんは「そんなに悩むんだったら、今、自分に話してくれたことをおふたりに伝えてみたらいいんじゃない?おふたりもそんなに自分たちのことを考えてくれたんだってわかったら、嬉しいと思うよ」って。

もちろん、最初はそんなこと言って大丈夫なのかなとは思いました。でも、ただ演出を当てはめた進行を提案することを想像したら、そっちの方が違和感で。自分が納得していないものをお客様に出すのは違うなと思ったんです。

中座のお相手はガチャガチャで決定!
実は中身は全部同じ人という仕掛け

進行提案で出したのは「白紙」の進行表

そして迎えた進行提案の日。おふたりに結婚式の方向性だけお話しした後、進行提案の場面で出したのは白紙。

スタンダードな進行も見せながら、「これっておふたりの思う前代未聞に 1ミリも当てはまらないと思うんです。この白紙からおふたりと一緒に作り上げていきたいんです」と正直にお伝えしました。

すると私の想いが伝わったのか、おふたりが「じゃあ一緒に作りましょう!」っておっしゃってくれたんです。

そこからの打ち合わせは一気に壁がなくなったようにおふたりも私もノリノリで、本当に楽しかったです。おふたりのお話も「すみません!白紙です!」って言った後の雑談の方が覚えてるんですよね。

結婚式までの準備期間は3か月という短期間でした。衣裳合わせなどでご来館されるたびにおふたりを捕まえて、進行の相談をしていました。

進行提案の日、きっとおふたりはすごく期待してくださっているんだろうなとは思ったんですけど、あのとき正直に打ち明けていなければ、お客様とここまで打ち解けることはできなかったと思います。

ー初担当ということで、無難な進行を選びそうなものですが、そうしなかったのはどうしてですか?

私、中途半端がすごく嫌なんです。こういう風に進行を考えてきましたって言うのは簡単だけど、やるんだったらとことんやらないと気が済まなくて。それで考え抜いた結果が今回は白紙だったんですよね。

そして初担当の結婚式、ここで妥協したら、今後ずっとそうなんじゃないかって思って。たぶん普通に進行を提案していたら絶対後悔していたと思います。

退場後、会場内からおふたりを呼ぶ声が。
戻ってみるとゲストから『結婚おめでとう!!』と祝福の声

結婚式を挙げようと思った理由に、結婚式の本質がある

ー大沼さんはウエディングプランナーとして、結婚式を作る上で大切にしていることはありますか。

お客様がやりたいことは尊重しつつ、結婚式を挙げる理由を考えてもらうようにしています

今回の結婚式も、最初はただ楽しくいっぱいお酒が飲みたいっていう感じだったんです。でもそれって飲み屋さんでもできるなと思って。

それでも結婚式を挙げると決めたということは、きっとほかに想いがあったはず。なので「どうして結婚式を挙げようと思ったんですか」とカウンセリングで聞くようにしています。

たとえば最初のカウンセリングで「結婚式で感謝を伝えたい」と答えてくださったとしたら、ある程度打合せが進んできた時点で「あのときおっしゃってた感謝、どうやって伝えますか?」と相談します。

やっぱり恥ずかしいからいい、いつも伝えてるからいいっていう方もいらっしゃるんですけど。でもこの日しか伝えられないこととか、この日だからこそ伝わることがあると思うんですよね。

楽しいだけじゃない、より意味のある時間にするのがプランナーとしての大切な仕事だと思っています。

今、結婚式を挙げる方もゲストも、参列経験が少ない方が増えていて、今の結婚式ってどんな感じなの?という方も多いと思います。なので、パレスグランデールで結婚式の楽しさとか良さを伝えられたらうれしいです。

ゲストと乾杯したあとは
扉の外で待っていたスタッフとも乾杯!!

大沼さん流「人の懐への入り方」~コミュニケーションは挨拶から~

ー今回、結婚式を創り上げるためにとにかく人に聞いて回ったという大沼さん。大沼さんの発表の中で個人的にグサッときたのが「学びを止めていませんか?」という言葉です。

ー経験を積むに従って人に聞くのって勇気が必要になると思うのですが、恥ずかしいというのはないんですか?

全然ないです。だって何もわからないって不安ですし怖いですもん。

先輩は進行の組み立て方は教えてくれたんですけど、そこからどうやって実際の結婚式ができるのかは、やりながら学ぶ感じだったので。自分から取りに行かないと情報がなかったんです。

あとは当日一緒に結婚式を創るのはサービススタッフや司会者さん、音響さんやお花屋さんですよね。

これから関わる方たちの名前はちゃんと知っておかなければ!と思い、「いついつ入りました、新人の大沼です!」って名刺を渡して回ってました。「絶対新人じゃないでしょ!」って皆さん初対面なのにつっこんでくれて(笑) 。

そのあとは会うたびに挨拶をして、私を覚えてもらう努力をしました。とにかくコミュニケーションの第一歩は挨拶ですからね。そうこうしてると、すでに「あ、聞いたよ。貫禄のある新人さんでしょ」って私の噂が広まってるんです(笑)。

ーそんな人の懐に入るのが得意な大沼さん。今後の目標はありますか?

今後は他のプランナーの担当する結婚式を見学して、自分の結婚式では気づけないことを勉強していくつもりです。ゆくゆくは音響や照明も司会もトータルでプロデュースできるウエディングプランナーになりたいですね。

ー大沼さん、ありがとうございました!これからの大沼さんがプロデュースする結婚式が楽しみです!

会場に駆け付けた応援団
おそろいのお花やお酒のバッジを身に付けました