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「New Jeans」デビュー!人気の理由を研究者が社会文化史的に考察してみた③:SPEEDとの共通点を読み解く

「New Jeans」の人気の秘密をK-pop研究者であるJohoが社会文化史的に考察していく連載、今回は3回目です。
前回はNew Jeansの「SPEEDっぽさ」こそがNew Jeansの「新しさ」を理解する大きなヒントになっている、とお話ししました。

今回からはNew Jeansの「SPEEDっぽさ」が意味するところを深掘りしていきます。
今回はまず、SPEEDとNew Jeansの共通点についてみていきましょう。

厳しい事前トレーニングによる完成形でのデビュー

SPEEDは1996年にメジャーデビューした90年代後半のJ-popを代表する4人組ガールズグループです。デビュー当時の平均年齢が13.5歳、小中学生によって構成されているにもかかわらず、当初から完成されたダンス&ボーカルを披露して注目を浴びました。
メンバーは安室奈美恵らを輩出した沖縄アクターズスクールの出身で、幼い頃から十分なトレーニングを受けた上でデビューしたため、デビュー当初から完成されたパフォーマンスが可能であったわけです。
一方のNew Jeansもまた、K-popに特徴的な厳しいトレーニングを徹底的に受け、中学生メンバーを含め全員完成された形でデビューを果たしました。

従来型のアイドルとは差別化された洋楽志向

SPEEDはデビュー前に所属事務所から示されたコンセプトを拒否し、パフォーマンスではミニスカートを履かないことを約束させました。こうして従来型アイドルの様式とは明確に決別した、スポーティな雰囲気をもつ彼女たちのステージが生まれたのでした。
そこで志向されたのが、当時の洋楽ガールズグループでした。とくに、90年代洋楽ガールズグループの中でトップクラスの人気であったTLCの初期パフォーマンスの影響がSPEEDにはみられます(実際、本人たちが事務所に「TLCみたいになりたい」と語ったとか)。
New Jeansについても、従来のK-popアイドルとは明らかに異なる、洋楽のような世界観と音楽性をMVで打ち出したことによって幅広い支持を得ています。MVを観た多くの人たちが「K-popでなくて洋楽みたい」という反応を示していることからもうかがえます。
このように両者には、従来型のアイドルと差別化し、洋楽を志向するという共通点があることがわかります。

ビビッドカラーのスポーティなファッション

New Jeansが最初に公開した’Attension’のMVにおけるファッションはビビッドカラーを織り込んだ、彼女たちの若さとパフォーマンスの躍動感を象徴するスポーティなファッションでした。その後に公開された’Hype Boy’でも同様のファッションが採用されていました。

SPEEDもまた、デビュー当時においてはビビッドカラーを織り込んだスポーティなファッションを着用することで、パフォーマンスの躍動感に視覚的な効果をプラスしていました(ただし、2曲目の’Steady’以降はモノトーンの衣装が増えますが)。

共通点は偶然?必然?キーワードは「90年代」「Y2K」

以上、3つの共通点を示しましたが、これらの共通点は果たして偶然なのでしょうか、それとも必然なのでしょうか?
それを読み解く重要なキーワードが「90年代」と「Y2K」です。
そして、そこには「K-popの原点」ともいえる核心的なメッセージが潜んでいます。
次回は、共通点の背景をさらに読み解いていきたいと思います。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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