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『ジョニーぶらり旅』フィリピン編S2③

 部屋がとても清潔で広いので、ぐっすりと眠ることができる。とても快適だ。いるだけでとてもウトウトしてしまいそうだ。

 しかし、しっかりと観光せねばならない。部屋でダラダラばかりしていては、もったいない。
 そう思い、すぐさま通りでジプニーに乗り込んだ。とてもギュウギュウに詰められながらも、一時間以上もひたすら走り続けた。

 ホテルのあった一般住宅街(とはいってもほぼスラム)を抜けて、都心部にまで着いた。とても開けていて、高層ビルが立ち並ぶ。まるで東京みたいだ。

 ジプニーを降り、地下通路を渡って、イントラムロスと呼ばれる地域にたどり着いた。
 ここは西洋建築がずらりと並び、教会や資料館などが並ぶ。これらの建物はスペイン占領下で建てられたもので、とても歴史ある。

 そして忘れてはいけないのが、日本軍が激しい戦闘を行った場所であるという事である。
 随所に戦争の痕跡が残っている。

 そしてマニラでの日本軍は、「マニラ大虐殺」と呼ばれる虐殺行為行ったとされており、その慰霊碑が設置されている。

 イントラムロスは広大なため、自転車版トゥクトゥクに乗って、ガイドの話を聞きながら回るのが、とても楽である。
 「マニラ大虐殺」の慰霊碑に行って手を合わせると、すぐに日本人だという事が周りにバレた。


 あるガイドに「日本人か」と英語で聞かれたので、そうだと答えた。すると、隣にいた女性が「This is the history」と私に言ってきた。その表情には、差別というよりは、日本軍に対する冷たい感情が感じられた。それがとても辛く、いてもたってもいられなくなって、その場を足早に立ち去った。

 その後に行った要塞では日本軍は何をしたのか、写真と人形が展示されていた。


 ここまで残酷な写真は今まで何度も見たことがあったが、これを我々の先輩である日本人がやったことなのか、という衝撃がすさまじかった。

 一言でいうと、吐き気を催す。
 自分の国が嫌いになりそうだ。当時の日本は何を守りたかったのか。日本だけしか守りたくなかったのか。
 そんなことが永遠に頭から離れない。

はやくこの場から離れたくて、近くにいたバイクタクシーに声をかけて、ホテルに戻ることにした。


 するとそのドライバーは旭日旗のシールをバイクに貼ってあり、腕にも旭日旗のタトゥーをしているではないか。素晴らしい。こいつは信用できる。ぼったくられる心配がない。そう思って、ホテルまで出発した。

 一時間ほどでホテルに到着した。道中、いろいろな事を話しながら走っていた。

 料金は300ペソだった。しかし財布には500ペソしかない。お釣りも持っていないドライバーは、「あそこの通りで両替してくる」といって走り去っていった。


 あれから半年以上が経っているが、彼はまだ帰ってこない。


 一体どこに両替をしに行ったのだろうか。事故にでもあっていなければいいが。


 彼を信じて待ち続けたい。


 つづく




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