ヴィヴィアン・マイヤー

ヴィヴィアン・マイヤー 謎のアマチュア写真家

1926年にニューヨークで生まれ、2009年にシカゴで幕を下ろした彼女の人生は、謎に包まれている。

友人は少なく結婚もせず、40年間ベビーシッターとして慎ましく暮らしていた。

「どこにでもいる、誰でもない誰か。」彼女の一生を聞いた時、最初に私が感じた印象だ。

しかし彼女にはカメラがあった。

二眼レフカメラを片手に街へ飛び出すと、彼女はヴィヴィアン・マイヤーになった。

多くの人がただ消費していく日々の時間を、捨て難き形あるものとして切り取っていく。

時と所を超越した普遍さと、彼女が吹き込んだアンニュイな世界観が、私たちを惹きつけ魅了する。

彼女を知る数少ない人々の話を聞いても、彼女の人生は見えてこない。

しかし彼女の残した写真を通してなら、彼女を感じ、その世界の一片に触れることができる。

生前は、誰でもない誰かだった彼女は、写真を通しヴィヴィアン・マイヤーとして、永遠に生き続ける。

「写真家の人生は、レンズの中に存在している」と教えてくれた。

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