裏のハローワーク 感想
Audible版『裏のハローワーク 』 | 草下シンヤ | Audible.co.jp
はじめに
2000年代後半の一般的ではない”裏”の職業事情について解説した本。
ジョジョのスタンド評価の様に各裏の職業の犯罪性、収益性などを1~5つ☆で評価している。
裏の職業といってもマグロ漁船、宗教家、出版ブローカー、治験バイトなど、特に犯罪性が無いものなども多い。
もちろん、詐欺、恐喝、密売、その他もろに犯罪行為を行う職業なども紹介されている。
普段目にしない職業の詳しい事情を知れるという点で、怖いもの見たさを刺激される本書であるが、特に興味深いのが、詐欺、恐喝などを行う上で被害者に対して意識的に植えつけられる異常心理である。
例:闇金での取り立て方法に相手の弱みを握る、事務所に監禁するなどして、相手を恐怖(デバフを与える)させることで、被害者の思考が麻痺し、金を持ってこさせるなどの思い通りのシナリオを描くことが出来る。
よく悪用厳禁!これを読めば相手を思い通りに出来る本!
といった感じの本があるが、書いてある内容としては心理学、社会心理学、あるいは営業、マルチ商法で使われた印象操作実践例が書いてある場合が多く、詐欺として見なされる使用例を除き、これらははっきり言って普通の営業テクニック本である。
対して、本書は法という規制をある程度無視した、より動物的、自然な形で狙った獲物を如何に追い込むか、綺麗ごと抜きの駆け引きが描かれている。
相手を閉鎖環境、監視環境などの異常環境(アンコンフォートゾーン、アウェイ)に追い込み、不安、恐怖、などで追い込まれる様を客観しすることで、それらの状況に対する事前知識を得ることが出来る。
事前知識があれば、それらの状況を察知し、回避しやすくなり、また、相手の行動も予想できるので、ある程度駆け引きが出来るようになり、危機回避的な視点で役に立つ。
もちろん、上記の追い込みを真似て実生活に役立つことも可能だが、”悪用厳禁である”
まとめ
本書は非日常体験をしたい方、詐欺、恐喝被害の手口について知りたい方、裏世界で働いてみたい方にお勧め。
また、本書の続編はより異常心理に追い込むテクニックが学べるので、駆け引きについて学びたい方はそちらもおすすめ(あと、単純に面白い)