Op.004【書評】モモセ直子著『TOEIC©L&Rテストは「出題者の意図」がわかると1カ月で180点伸びる!』青春出版社 2019年 全170頁
目次
1.はじめに 3
2.TOEIC©L&Rテストについて 5
3.この本の使い方 6
4.スコアをUPさせる勉強の手順 7
5.第1章 TOEICがテクニックだけで十分スコアを稼げる理由 10
6.第2章 出題者の意図を掴んでPart5をスピード解決 14
7.第3章 出題者の意図を掴んでPart6をスピード解決 96
8.第4章 出題者の意図を掴んでPart7をスピード解決 112
9.第5章 全パート共通!試験前に知っているだけで+60点狙える実践テクニック 160
10.付章 166
何かしらの試験勉強をしている人はすでにお気づきかと思うが、楽して試験合格するなら試験等不要なのだ。邪心は捨てて、毎日コツコツ積み上げていきましょう。目的意識を持たない勉強は積みあがりませんので、成果が出ない場合は再度見直し若しくはやらないという選択肢もアリだと思います。
本書ははじめにで著者も明示しているが「リーディング」に特化した対策本である。特に対策しやすいPart5及びPart6で解答時間をPart5においては難易度の低いものは20秒以内、Part6では2分から2分半で一文書(4問)を処理するペースを保つための攻略スキルがポイント共に例題を交えて丁寧に説明されている。(1)
以下がモモセ氏が推奨する解答に費やすべき「ベストタイム」である。
■Reading 全100問 75分
Part5 問題数30問x平均20秒=600秒→10分
Part6 問題数16問(4文書(各4問)x平均120秒=480秒→8分(約10分)
Part7 問題数54問x平均60秒=3,240秒→54分
シングルパッセージ 10セット(各2~4問)合計29問
ダブルパッセージ 2セット(各5問)合計10問
トリプルパッセージ 3セット(各5問)合計15問
こちらの一覧をみて、難しいのではと懐疑的な感想を抱いた方は是非一読いただきたい。私も海外経験者であるが、文法力においては日本や韓国及び中国などで熱心な教育を受けた方々の基礎力遠く及ばないと感じることがある。だからこそ、留学経験がない方や留学経験はあるけど文法が弱いという人ほど、試験に盛り込まれた正式なルールというものを「出題者と意図」として読み取ることでこれまで迷っていた設問に対してしっかりとした論理で正解を導き出せる力を養ってほしいと思う。
問題数が多いPart5短文穴埋め問題という最も解答速度の改善が容易に行えるPartでの解答スキルアップがこれまで空白や塗り絵状態でつらい思いをしてきたPart7での得点力アップに相乗効果をもたらす感じた。
本書のおすすめポイントとしては無駄な講釈を省き、基本問題、練習問題を多く掲載し、以下のような正しい解答に至るまでの思考過程を順を追って記載してくれている。これは疑似的な解答コーチングである。
書籍の構成は主に以下のような区分分けで工夫されている。
①攻略ポイント パート全体の解き方・心構えや注意点等も記載している
②STEP 問題を解く際の思考の順序をSTEP1,2,3といった具合に示している
③受験生がひっかかりやすいポイント これは日本人受験者特有の思考で陥りやすい間違い点など示してる。
※こちらはモモセ氏のカナダのTOEIC受験専門学校での講師経験に基づく生の受験生の声が反映されており、共感してしまう過ちも散見された。
TOEIC試験における正解としての文法等の記載もあり、TOEICにおける正解とされる英語とは何かという考え方もとても参考になった。
掲載問題数
Part5 基本問題34問 練習問題15問
Part6 基本問題3問 練習問題2問
Part7 基本問題7問 練習問題5問
リスニングに対して不安がある方には第5章にて+30点を取るための心得的な記載があるが、本書はあくまでReadingセッションの75分において得点力アップをはかることに特化している。しかし本書の目的としている文法力強化やより解答率を上げるための語彙力アップが相乗的にListeningにも影響を与えると考えてるため、こちらで記載されている内容を明確に理解・他者にしっかり説明できるぐらいになればその時点でかなり英語力は上がっているだろうということが容易に推測できる。
類似したもので問題の演習に特化したものだと中村澄子氏の以下のシリーズが思い当たる。
こちらも見開き1ページに1問といった構成で裏面の解説に必ず問題の種類を「適切な意味の動詞を問う問題」といったような記載があるのが、問題の類型化がしやすく学習の補助になる。
今回紹介した書籍は、問題演習よりも類型化された区分別に解答方法を説明するといった内容が情報の整理がしやすいと感じておススメしたい点である。
(1)現時点(2022/07/21)でのAmazonレビューは6個と大変少なく、他の書籍にも記載があるので価値を感じないといったコメントがある。一般的な対策本とは何か分からないが、公式問題集では整理されていない問題の類型や解き方の思考順序を丁寧に記載している点は、勉強の苦手な生徒にはまずお手本があるという点で私は評価に値すると考えている。