国家資格『衛生管理者』:社員数50名以上になるとmin1名は持っていないといけないので、勉強・受験・合格した話
どうも、株式会社アルダグラムで人事をしております重田です。
【コンセプト】
会社規模が大きくなると、会社が新たに行わなければならない労働法令関連の義務がいくつかあります。
現在、私が所属するアルダグラムの社員数は15名です。
しかし、事業の成長に伴って採用活動を積極的に行っており、社員数50名を超える未来もそう遠くないと考えています。
そこで、『衛生管理者』の資格を今のうちに取得しておこう!と決め、勉強・受験し、無事合格しました^^
本noteは、資格取得に関する手続き・勉強などについて、備忘録として記載します。
今後、資格取得を検討する方の参考に少しでもなれば幸いです。
衛生管理者とは
衛生管理者とは、労働者の健康を守るために企業が選任すべき人材のことです。
衛生管理者は、業種によって選任できる有資格者が異なります。
→上記の通り、衛生管理者には、『衛生管理者』資格を持っていない人でも、上記資格を持っていれば選任できます。
ただ、医師免許やその他比較的ニッチな資格を持っている人が社内にいる可能性は低いと思いますので、
①『衛生管理者』の資格を持っている社員がいれば、その人を衛生管理者に選任
②誰もいなければ、誰かが『衛生管理者』の資格を取得
のどちらかで対応している企業が多いと思います。
“第一種”衛生管理者と“第二種”衛生管理者
『衛生管理者』の資格は、労働者の健康障害や労働災害を防止することを目的とした、労働安全衛生法で定められた国家資格です。
そして、その資格には第一種衛生管理者と第二種衛生管理者があります。
違いは、先述の通り、「有害業務を含む業種でも業務を行えるかどうか」です。
「有害業務」とは、有害な粉末・ガスが発生する工場など、適切に管理しないと労働者の健康に重大な影響が出る環境で行う業務のことを指します。
つまり、人体に悪い影響を及ぼす「有害物質」を扱う業種は、第一種衛生管理者免許が必要です。
尚、ITスタートアップ企業に勤める人事(もしくはコーポレート)の方であれば、『第二種衛生管理者』で良いかと思います。
※ちなみに私は、アルダグラムの事業が建設×ITのため、一応『第一種衛生管理者』を取得しました。(建設業は第一種衛生管理者免許が必要)
企業は、いつ衛生管理者の選任が必要なの?
労働安全衛生法では、以下のように定められています。
つまり、
常時雇用する社員が50名以上なら、
『衛生管理者』の国家資格保有者が1名以上必要!
ということです。
もし、選任義務に違反すると・・・
労働安全衛生法違反になり、50万円以下の罰金が科されます。
事業主は、選任義務が発生した日から14日以内に衛生管理者を選任し、すみやかに所轄の労働基準監督長へ報告しなければなりません。
衛生管理者の業務
衛生管理者の業務は、
①「労働者の危険・健康障がいを防止する措置を行う」こと
②「労働者に健康・衛生に関する教育をする」こと
③「健康診断の実施など健康の保持・増進のための措置を行う」
④「労働災害の原因を調査し再発防止の措置を取る」こと
の4つです。
また、これらに加えて「作業場などを週に1回巡回する」「衛生委員会を必要とする職場では衛生委員を担当する」ことも衛生管理者の仕事です。
→社員数1,000名を超えると、上記の業務の専任者が必要ですが、それまでは兼務で大丈夫です。
(「有害物質」を扱う業種は500名以上で専任者が必要)
資格取得には、十分な時間/期間を確保すること!
理由は4つです。
①願書提出の手続きに、多少時間がかかる
詳しい手続きの流れは後述していきますが、ネットで簡単申し込み!ではありません。申込書を取り寄せたり、大学の卒業証明書などの複数の必要書類を準備したり・・・と、すべての書類がそろい申し込みが完了するのに数日~1週間は見ておいた方が良いです。
②直近5年の平均合格率は、第一種約45%/第二種約54%
国家資格としては高い合格率かと思いますが、試験を受ける人にとっては少し心配になる数字だと思います。
一定の勉強時間を確保しなければ、合格は難しいといえます。
③内容も覚えることが多く、結構大変
『衛生管理者』資格は、学習範囲が広いです。
労働衛生/関係法令/労働生理の具体的な内容は下記です。
そして、いずれも知識をただ暗記すればいいわけではありません。
理由や背景をしっかり理解する必要があります。
④就業しながらの勉強は、時間の確保が難しい
・平日は残業もあるので・・・
・仕事が終わった後は習い事や趣味、家事育児があるので・・・
などなど、人それぞれ理由は違えど、社会人の勉強時間の確保は容易でないと思います。
なので、1日の勉強時間は、確保できて30分~1時間といったところでしょうか。
以前、どこかの記事で「100時間勉強すれば受かる」というようなことを目にしたので、それでいくと3ヵ月程度必要な計算になりますね。
【参考情報】
私の場合は、2022年1月31日の試験に向けて12月1日から徐々に勉強を始め、1月は有休消化期間で週3は家にいた(週2はアルダグラムで業務委託)ので、そこで勉強していました‼※土日は奥さんと娘との時間にしたかったので、直前の土日以外は勉強しませんでした。
上記期間内も、外出したり体調不良で寝込んでた日もあるので参考にならないかもしれませんが、個人的にはこの期間でギリギリだったかなーと思います。
衛生管理者の資格取得までの流れ
では、これ以降は申し込み~勉強~当日~合格発表までの流れを、それぞれの工程別に記載していきます。
試験に申し込む
正直なところ、私が本noteにまとめなくても、リクルートアカデミーの下記サイトが比較的わかりやすくまとまっています。
とはいえ、せっかく読んでいただいた方向けに、簡易的ですがまとめていきます。
①受験資格を確認
短大・専門学校・大学を卒業している人は、例えば「トイレの衛生保持業務」や「健康診断の実施業務・結果の管理や保管業務」、「職場の清掃」といった“実務経験”が1年以上あれば受験できます。
※実務経験年数は、申し込み時の必要書類の1つ「事業者証明書」によりチェックされます。
つまり、会社を清潔に保つための取り組みや社員の健康管理に関する業務を日常的に行っている人事やコーポレート業務従事者であれば、十分要件は満たせます。
②試験日を決める
【試験会場】
衛生管理者試験は、全国7ヶ所(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州)の「安全衛生技術センター」で受験可能です。
【試験日程】
試験日程は、受験月と会場となるセンターによって異なります。
関東センターは月5回前後実施されていますので
安全衛生技術試験協会HPより、自分の受験したい日にちに目星をつけます。
日程に目星をつけたら、申し込み時に第一希望日・第二希望日を書いて提出し、そこから申し込み完了後に正式な試験日が決定します。
③申込書、必要書類を取り寄せる
受験申請書(願書)を入手するため、公益財団法人安全衛生技術試験協会に郵送で請求します。
具体的には、下記を添えて協会本部または受験を希望する安全衛生技術センターに請求します。
ちなみに、安全衛生技術センターが近ければ、直接出向いて入手することも可能みたいです。
④書類を作成し、提出する
準備する書類は下記です。
・・・出願書類が揃ったら、
受験する地区を管轄する安全衛生技術センターに簡易書留
で郵送します。
※直接安全衛生技術センターに出向き、窓口に提出することも可能ですが、どこも結構地方にあるので郵送になる人が多いかと思います。
いざ、勉強開始!
『衛生管理者』の試験は、試験当日のひらめきで解ける問題はほとんどありません。
つまり、私の経験から言えることは
勉強の質・量が重要で、試験を受ける前に既に合否は決まる
です。
以下に、私が実践した具体的な勉強方法を記載していきますので、参考になれば幸いです。
①参考書を買う
まず、勉強するための参考書を買いました。
既に衛生管理者の資格を獲った知人の推薦・口コミ等から、下記2つの本を買いました。
+αで、こちらも活用しました。
※赤シートは前者のテキストにも付属されていますが、「赤字になっていないけど試験に出る部分」が一定数あったので、それを覚えるために、こちらのペンも買って活用しました。
②いつまでにどの章をやるかの目標設定
これは、別にやらなくても良いと思います。
私の場合は・・・
・最後にちゃんと試験勉強したのは大学生時代(約8年前?)なので、
“勉強する”という習慣を思い出すため
・趣味のUFOキャッチャーなどの遊びたい欲求から自分を律するため
という2つの目的で、ダレないようにまずはスケジュール目標を決めて自分にルールを課しました。
③【重要‼】暗記するというより、理解する
『衛生管理者』の資格勉強において、これが非常に重要です。
勉強する手順としては、まず『要点まる暗記!衛生管理者第1種・第2種合格テキスト』の内容をインプットしていきます。
Ⅰ、赤シートで隠して暗記する
例:赤血球、ヘマトクリット値など参考書で赤字になっているキーワード
Ⅱ、今暗記したのは何に関する事項なのか?をしっかり覚え、壁やぬいぐるみに向かって説明してみる。
例:「赤血球の寿命は120日で、血液にしめる赤血球の割合をヘマトクリット値といって・・・」
⇒Ⅰだけの場合、参考書のページの穴あき問題を解く試験であれば有効だと思います。しかし、『衛生管理者』の試験は基礎理解をしっかり求めてくるので、“覚える”のではなく“理解する”ことが重要です。
Ⅲ、『要点まる暗記!衛生管理者第1種・第2種合格テキスト』の各章の最後にある確認問題を解く。間違った部分は理解できる復習する。
これも結構大事です。
なぜか。
簡単な例ですが、下記のようなことが起こります。
■テキストでは、「有機溶剤を取り扱うときは作業主任者が必要」と記載があり、それを理解する。
■問題では、「ベンゼンを取り扱う時は作業主任者必要。〇か×か。」のように問われる。
⇒この問題を正解するには、「ベンゼンは有機溶剤だから、〇だ!」と頭で変換する必要があります。
※有機溶剤の種類の1つがベンゼンという物質です。スポーツの中のサッカーみたいなものです。
なので、Ⅰで覚えてⅡで理解するだけじゃなく、Ⅲで実際の問題の出題傾向に触れておくことが重要です。
④一問一答 パーフェクト1500問を解く
先述のⅠⅡⅢの手順で一通り網羅したら、次は『第1種衛生管理者 一問一答 パーフェクト1500問』でひらすた問題を解いていきます。
このテキストでは、先述のⅢで触れた「実際の問題の出題傾向に触れる」ために活用します。
1つ目のテキストよりも問題数が多く、且つ実際に過去の試験で出題されたものも内包されているので併用すると理解を深められると思います。
ただし、次の⑤で紹介する「実際の過去問を解く」方が個人的には大事だと思うので、予算的・時間的に厳しい人はこの本はなくても大丈夫かなと思います。
⑤【重要‼】過去問をひたすら解く、間違えたところを復習をひたすら繰り返す
開示されている過去問をほとんど解いた経験から振り返ると
試験問題は、6割~7割ぐらいは同じ問題
です。
基礎知識がしっかり理解できていて、過去問をひたすら解けば、合格の可能性はグッと上がると思います。
ちなみに・・・これを見た人の中には、
「試験問題が6割~7割ぐらい一緒なら、参考書ナシで過去問だけ解けば大丈夫じゃない!?」って思った人もいるのでは?と思います。
個人的には、それは厳しいと思います。
理由としては、6割~7割は一緒とはいえ、月に5回もやっている試験なので、微妙に問い方を変えてきます。
実際に試験を受けた時の問題では、過去問と同じ/もしくは類似していて秒殺できる問題もありましたが、同じような問題・選択肢でも例えば語尾が「できない」→「できる」になっているようなマイナーチェンジも複数がありました。
基礎知識がなく過去問だけやっていた場合、このように問い方が変わると〇×の判断はつかないと思います。
つまり、テキストをしっかり解いて基礎知識を理解したうえで過去問を解くことで、初めて鬼に金棒になるわけです。
・・・話を元に戻して、③と④が終わったら、過去問を何回も解いていくことを強くオススメします。
Ⅰ、過去問を解く
Ⅱ、採点して、間違ったところは理解できるまで復習する
→場合によっては、「参考書ではキーワードになっていないけど、この類の出題多いから、覚えておこう」と追加でテキストの内容を暗記・理解することも結構ありました。
Ⅲ、数日空け、再度解く。
この作業を、満点取れるまでやった方が良いです。
尚、『衛生管理者』の試験問題は、毎年4月と10月の2回だけ公表されます。
私は下記サイトを活用し、ここに記載されているすべての過去問を解きました。
試験前日
遠足の前日のようなことを書きますが、前日まで来たら数分長く勉強しても結果は変わらないと思います。
私がした方が良いと思うことは、下記2つです。
■持ち物チェック
- 受験票は絶対忘れないように!
- 鉛筆(シャーペン可)、消しゴム
- 電卓
- ミニ鉛筆削り
→鉛筆削りは、持ち物リストには記載がありませんでしたが、備えとしして個人的に持っていきました。
■早めに寝る
試験当日‼
「関東安全衛生技術センター」は遠い‼
【場所】千葉県市原市能満2089
【最寄り駅】JR五井駅東口
→関東安全衛生技術センターの周辺にはコンビニもないので、買い物があればここで済ませた方が良いと思います。
【アクセス】
JR五井駅東口3番乗り場から、「技術センター」行きの直通バスが試験開始時刻や受験者数に合わせて運行されています。乗車時間約20分。運賃片道370円(令和3年12月1日現在)。ICカード可。
(関東安全衛生技術センター案内図より)
※公共交通機関の利用が推奨されてます。
調べたら、参考データとして「新宿→五井」は電車でおよそ1時間30分かかります。そこからバスで20分なので、ダイヤ乱れや交通渋滞を考慮すると、片道2時間半は見た方がいいかもしれません。。。
試験会場は1時間以上前から入れるので、早く着いて勉強できます‼
私の試験当日の行動は下記の通りです。
会場には、「免許申請書(合格した場合の免許申請用)」と「免許試験受験申請書(不合格だった時の再受験用)」があるので持って帰るべし!
万が一不合格だった場合には、再度願書の請求をしなくても良いので、念のため予備で持ち帰っておくことをオススメします。
ちなみに、試験問題は「持ち帰り不可」なので自己採点はできません。
また、こちらもNGだった際に受験票があると卒業証明書の提出等が免除されるようなので、受験票は試験終了後も保管しておきましょう。
合格発表
試験日から7日後の朝9時半に、関東安全衛生技術センターのHPで発表されます。
※結果は郵送(ハガキ)でも届きますが、タイムラグがあるので、上記HPがイチ早く結果を確認できる方法です。
尚、私の場合は奇しくも、自分の誕生日の朝に合格発表でした・・・w
無事一発合格できて、良かった^^‼
合格なら資格申請/不合格なら再チャレンジ
■祝!合格
この場合は、事前に持ち帰った免許申請書に必要事項を明記のうえ、東京労働局免許発行センターに郵送します。
■残念!不合格
この場合は、受験票を添付のうえ、再度免許試験受験申請書を郵送します。
※この際、受験票あれば大学の卒業証明等は不要ですが、受験料は再度かかります。
以上です。
終わりに
正直なところ、読書ではなく“勉強する”って感覚を最初は全然思い出せず、普段の不摂生を恨むぐらい全然頭に入ってこなくて苦戦しました。。
でも、自分で決めたことなので意地でも頑張ろう!とやり続けました。
最終的に、終わってみたら当然知識も付いたし、今後の人事の業務にも活きてくるものなので、良い経験をすることができました。
これから受験される方、頑張ってください^^
最後までお読み頂きありがとうございました!!
PS:もし私が所属するアルダグラムに興味のある方は、下記よりご連絡お待ちしております!!
いきなり面接ではなく、まずはカジュアルに魅力をお伝えさせてください^^
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