部活動の”OB会”は誰がために
先日、私が大学生の時に所属していた部活動の”OB親睦会”に参加しました。
OB親睦会における学部生の目標は、「参加した先生を接待すること」。
自分が学部生だった頃は、いらした先生の顔と名前、卒業年次、業績(あれば)をそれとなく覚えて、相手が心地よく過ごせるように努めたものでした。
そんなOB親睦会に、いよいよOBとして参加する年次が来たわけです。
卒業して早半年、OB親睦会開催まで、なんだかんだ部活動にちょくちょく顔を出していました。OBを招いて行う新歓、夏の大会、夏の合宿など、OBが過去参加したことがあるイベントにはだいたい顔を出していました。
それもあって、自分と6つも学年が離れた人のことも、なんとなくお互い把握している状況だったように思います。
今回のOB親睦会は、大きな見せ場がありました。夏の大きな大会で、団体優勝、個人戦優勝を飾ることが出来たのです。その祝勝会、という側面もあったように思います。
夏の大会は西日本の国立大学がだいたい参加するような規模でしたから、一言お祝いしよう、ということで普段と比して参加するOBOGの数もひとしお。総勢30名以上のOBが参加する、大OB親睦会となっていました。
親睦会は、学内の食堂を貸し切って行い、近くには年次が近いOBOGがまとめられます。
「かつて自らが学生だった時代を懐かしんだり、現役世代(学部生)と交流する」側面がありますから、10個も年次が上の人と隣の席、ということはありませんでした。
ここらで少し、違和感を覚えます。
「このOB親睦会は、誰が、何のために開催しているんだ…?」
OB親睦会は誰が為に
OB親睦会を開催するためには、多大な労力がかかっています。
確実に参加するOB会長、部長と日程調整
会場予約
会場レイアウト確定(座席決定、写真撮影配置決定、クローク、受付、内装など)
OBOGへ、OB親睦会開催・参加可否を確認する連絡を行う
人数が確定次第、食事や飲み物を注文する。
当日使用するスライドを準備する(OB親睦会は、学生→OBOGへ1年間の活動を報告する場でもありましたから、そのスライドを準備しなくてはなりません )
この工程をすべてOBOGが自ら行うことが出来ないという理由で、部活動に所属する学生が、事務作業など運営補助を行う(主に幹部学年)、という形式を取っているそうです。
主催をA先生、責任者をB先生とすると、以下のような構図になります。
ここで、シンプルに疑問が浮かぶ。
「OBOGが昔を懐かしむだけなら、自分たちで出来る規模の会を開いたら良くないか‥?現役部員を巻き込む理由ってどこにあるんだ‥?」
幹部運営ほど難しいものはない。
恐らくこれの答えとなるのが、「かつて自らが学生だった時代を懐かしんだり、現役世代(学部生)と交流する」という部分でしょう。
学部を卒業したOBOGが、学部生さながら部室を訪れて、対話を持つというのはハードルが高い。
だけれども温故知新、古きを訪ねて新しきを知る、「その悩み、OBOGがすでに答えを出しています」ということは往々にしてあるのだろう。
学部生のときには答えが無くて、もがき苦しんだことが、仕事が始まってみるとなんてことない問題だった、ということは良くあります。
「部活動の幹部は、やってる時は大変だったけど、終わってみたら良い思い出だし、そこで学んだことは今も仕事に役立ってるよ」とは言われるけれど、実際どう役立っているのか知りたい、そんな時、そこに答えられるOBOGの姿、というのは素敵な存在なように思うのです。
部活動の幹部運営というのはとても難しいんです。理由としては
任期が1年。良くも悪くも。
幹部メンバーが潤沢に揃わないこともある(学年に依って人数、キャラもまちまち)
引き継ぎが上手くなされない(資料作成ノウハウも無ければ、言語化スキルも未熟、報連相初めて、という人が多い)
こんなことは部活動の幹部運営に限った話ではなく、職場でも平気で起こる。
任期付で選ばれた役職だからやる気も起きず、現状維持を目指す。任期を終えることが目標だから、引き継ぎ資料もろくに作成されない。キャラが揃わないことなんてザラ。。
これに加えて、社会人と比較して幹部運営に対して給料が出るわけでもない。「お金をもらっている分仕事しなさい」は通用しないわけです。
これは難しい。
だから、OBOGが来る。先人に聞くんです。聞かれなくても、困っていることは明らかな訳ですから、こちらから話すんです。
「報連相は大事」と言われても、何が報で、何が連で、何が相かわからないから、その具体的な話を。
結構学生の部活動の指導は「一子相伝」的な要素が強く、強い人が1人いたら、その前後の学年は強くなります。
でも、その人が引退、卒業すると、その人のノウハウが伝わっていないから、部活動として弱くなる。
OB親睦会ではそんな口伝で行われたノウハウを再び現在に興す、聞いてモチベーションを上げる、という側面もあるのではないでしょうか。
さて、ここまでの話をまとめると
OBOGが昔を懐かしむだけなら、自分たちで出来る規模の会を開けば良い。
OB親睦会でOBOGと現役世代が話すことで、部活動運営の悩みが解消したり、過去強かった時代の指導ノウハウ、練習量を聞いて、モチベーションに出来たりする事がある。
では、この会は誰が、誰のために開いているのでしょうか?
1つ目の話では
誰が:OBOG
誰のために:OBOGのために
何をする:話す場所を設ける(飲み会セッティング)
2つ目の話では
誰が:OBOGが
誰のために:現役学生のために
何をする:話す場所を設ける。
ここまでの流れを見ていると、「OBOGが」「話す場所を設ける」ということは共通しているようですが、「誰のために」という部分が異なっています。
ここに、個人的歪みを感じます。
「現役学生のため」を思ってやっているとしても、相手としては大きなお世話何じゃね???
「あなたのためを思って」というならば、対話を持つ覚悟を。
「あなたのためを」系の構文は、上司が部下を指導する場面や、親が子を叱る場面でしばしば用いられます。
「私はね、あなたのためを思って言っているのよ」
「あなたのためを思うと、〇〇した方が良いわよ」
これを言われた時に、「いや全然私のためになってないんやがww」となることもしばしば。
もしもOB親睦会が、「現役学生のためを思って」開催されているならば、本当にそれが現役学生のためになっているのか?ということについて評価されるべきでしょう‥。そしてもし、それが形骸化していて、「前年から引き継いで来られて、OB親睦会の運営は幹部がやることになっている」のであれば、黄色信号だと感じます。
OBに対して「どうしてこの会は幹部が運営になっているんでしょうか。OBOGの先生方が運営して行うべきでは?」と、腹を割って話し合う機会があっても良いよなぁ‥と感じる今日この頃でした。
卒1の自分には何が出来る?
とはいえ対話を持つのはなかなか難しい。
OBとアルファベットで2文字のこの単語ですが、中にいるのは自分の倍の年齢になっているような社会人が出てくる訳です。高校を卒業して数年の学生が、面と向かって「Why?」を唱えることのハードルの高さと言ったら‥。
自分は卒業して1年目で、まだ現役学生と2,3しか年が離れていません。
逆にOB会長やらOBのエライさんとは、「学生 対 OB」ではなく「OB同士」になった手前、話しやすくなったと感じています。
都合の良い立場になったからこそ、現役学生と年が離れきる前に、OB会長やら偉い様と、こういう対話を積極的に行っていきたいですね。