「疾患の○徴」をどこまでAnki化して覚えるか?という話。HUSの場合
ガイドラインって本当にすごいもので、例えば「溶血性貧血+血小板減少+急性腎障害→HUS」と考えたとしましょう。これは溶血性尿毒症症候群の3徴であり、有名中の有名、な話です。
それの丸暗記で問題が起こらない時には、追加で何か覚えようとか、そういう気持ちが何も起こらないんですよね。
学生Aが単なる症状の足し算的に診断し、鑑別疾患をほとんど挙げないで診断している。
学生Bがその他の鑑別疾患を考慮して診断している。
どちらであったとしても、問題はないのです。
うまく動いている機械は修理する必要がないのです。上手く動いているアルゴリズム/思考法は改善する必要がないのです。
ただ前者の様に進めていた場合、トラブルが起こった時に問題になるのだと思うのです。
つまり、
「え、だって、予備校で ”3主徴揃ったらHUSだ” って習ったからそうやったのに、どうしてそれが問題になるんですか???」としか言えなくなるのです。
自分が覚えていることの元情報を知らないと、いざトラブルが生じた時、それに対応できなくなるのだ。
その予備校はおそらくガイドラインを参考にしている。
そして、ガイドラインを参考にした値で「国家試験を解く上で」問題が無ければ、それで良し、としているのだ。
※ 予備校を問題視している訳では決してない。予備校が目標としているのは「国家試験合格」である。その文脈で問題なく解答することが出来ていたのであれば、「問題無し」なのだ
じゃあ普段勉強する時、どうするか、どこまで覚えたら良いのか。
例えばHUSの場合、「ADAMTS13関連のTTPとかEHEC感染が否定的だけど3主徴が見られるAtypical HUS」というものが存在する。
コレは今まで国家試験で出題されていない (筆者調べ)
つまり、”国家試験の勉強”という文脈では覚える重要性は低いと考えられているのだ。(HUSガイドラインを参考にしているYearNoteでは記載有り)
勉強する時の基準をどこにするか。
「血液内科になりたいんだったらコレくらいは覚えておいて」
「総合診療だったらコレくらい」
「麻酔科だったらコレくらい」
‥‥‥
こんな指標が存在したらすごく便利なのに。そう考えた人も多いのではないだろうか。
だが、そんな物は自分で決めるしかない。
112A36を解答する時、
「EHEC感染が疑われる患者で貧血と血小板減少があったら、腎障害を合併しやすい」
という知識が無く、誤答してしまった。
この問題は「三徴を覚えてなかったね。覚えておいてね」で済ませて良いことなのだろうか?これがこのノートの原点である。
しばしば「3徴」など「疾患に特徴的な症状○つ」は覚える対象として取り上げられるが、その3つの症状の臨床的重要度はどの程度なのだろうか?と考えたのだ。
(つまり、臨床的診断として3徴が効力を発揮するのであれば覚えるし、そうでないのならば覚えない、という線引を行った、ということである)
結果として「3主徴」という形でガイドラインにも記載があったため、Ankify の対象となったのである。
問題を解き、間違える。この時の理由は大部分が「頭に知識が入っていなかった」になると思う。
全部覚えることが可能なら話は早い。やれ。
それが無理となった時に、どうするか。そうだ、優先順位をつけよう。
じゃあどうやって優先順位を付けるか。
その1つの選択肢として、
「ガイドラインの『臨床的判断』の項目に載っているかどうか」
があるよ、ということだ。
このような思考を経て、以下のカードを追加するに至ったのである。
明日も楽しい医学学習ライフを!
では。