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「オンライン授業をやったら人的交流が減って、中途退学者が増えた」を考察する

先日、と言ってももう2ヶ月程前になります。

3月に文部科学省が

令和4年度の大学等における学修者本位の授業の実施と新型コロナウイルス感染症への対策の徹底等に関わる留意事項について(周知)

という文書を公開しました。


文部科学省では、感染症対策を講じる上での留意点等を示しつつ、学生が安心して学修に専念できる環境を確保いただくよう繰り返し要請してきました。その中でも、感染症対策を十分に講じた上で、面接授業の実施に適切に取り組んでいただきたことや、図書館等の学内施設の利用機会を確保いただきたいことなど、学修者本位の教育活動の実施を一貫して求めてきたところです。
(中略)
令和3年度後期の大学等における授業の方針について文部科学省が実施した調査(以下「令和3年度後期授業調査」という。)では、ほとんど全ての大学等から、授業全体の半分以上を面接授業によって行う予定である旨を御回答いただきました。
(中略)
また、令和3年 12 月末の時点における学生の修学状況(中退者・休学者の状況)について調査を行った結果では、中退や休学の理由として「学生生活不適応・修学意欲低下」が大きな割合を占めており(中退の理由のうち最も多く、休学の理由のうち3番目に多い状況となっています)、中退者・休学者のうち「学生生活不適応・修学意欲低下」を理由とする者の割合は、昨年よりも増加傾向にあります。
これらの中退者・休学者のうちには、オンライン授業の実施等によりキャンパスへ通う機会が十分に得られなかったことで、学生同士や、学生と教職員との人的交流ができていないと感じた者がいたことも考えられます。

「令和4年度の大学等における学修者本位の授業の実施と新型コロナウイルス感染症への対策の徹底等に関わる留意事項について」 より

ううむ、なんだかオンライン授業が悪者であるかのような言い方に聞こえる‥。(いやいや安心して、悪者は『人的交流の減少』を引き起こした新型コロナウイルスだから…)


この文書ではこのようにも述べられています。

大学等における高等教育は、オンライン等を通じた遠隔授業の実施のみで全てが完結するものではなく、豊かな人間性を涵養し、人格の完成を目指す上では、直接の対面による学生同士や学生と教職員の間の人的な交流も重要な要素です。
こうした観点から、大学等における学修の充実を図るために、多様な人々の関わる授業や、 少人数のグループワークによる質の高い学修など、相互に切磋琢磨することのできる環境を整備することが重要であり、その土台として、学生の円滑なコミュニケーションを促していくことが求められます。

「令和4年度の大学等における学修者本位の授業の実施と新型コロナウイルス感染症への対策の徹底等に関わる留意事項について」 より


確かに。オンライン授業ですべてが完結する、というのは幾ら何でも言い過ぎである。
対面でのコミュニケーション、人的交流。それによって得られる人間性の涵養。素晴らしい。

それ自体に意見は無い。対面でのコミュニケーションは素晴らしいことだと思う。


ただ、

「中途退学の数が増加していること」

を理由に

「オンライン授業ではなく、出来るだけ対面授業をやってほしい」と訴えるのは、どうも弱すぎる気がするのです。

これだと、まるで

オンライン授業がだめだったから対面授業に戻してほしい

と言われている様に感じる。

実際には「コロナ禍」と「オンライン授業が盛り上がった時期」が重なっているだけ。オンライン授業が中途退学者増加にどれくらい寄与したのか、ということはあまり定かになっていない。

文部科学省が参考資料としている、

学生の修学状況(中退者・休学者)に関する調査【令和3年12月末時点】

を見てみます。

学生の修学状況(中退者・休学者)に関する調査【令和3年12月末時点】 より


直近3年だと大局観を見るのは難しいので、もう少し昔の資料も探したい所なのですが、どうも見つからない。

この3年だけでどうして「コロナ禍で中途退学する人が増えた」って言えるんだろうか‥という疑問を抱きます。


国公立の大学はこの文書を受けて、可能な限り対面に戻す方向で動いくと予想されます。


オンライン授業には、例えば「その場所に居なくてもコミュニケーションが取れる」など良い面があります。
昨日は宮崎、次は富山、東京、と各地に住む人とコミュニケーションが取れます。


こういったオンラインの良い面があることも認めつつ、大学の授業が進んでいくことを願うばかりです。


では。

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