11月7日 大学病院たすき掛け初期研修のすゝめ。複数の視座を持つ。
世の中の初期研修制度には、2つの制度しかない。
1つの基幹病院で2年間の研修をやり切る研修
1つの基幹病院+関連病院の2つを主にローテートするたすき掛け研修
この2つである。
私が属しているのは後者の初期研修だ。
大学病院で1年、市中病院で1年、合計2年初期研修を行う。
9月は大学の放射線科、10月は大学の産婦人科、11月は市中病院の泌尿器科、来月12月は市中病院の小児科‥と、月毎に異なる病院、異なる診療科をローテートする。
ここで大切なのが、どの層の患者が来るか?ということである。
大学病院でローテートしていると、本当にRare Disease がCommonに訪れる。
肝胆膵移植外科に行けば、週2回のオペ日で毎回膵頭十二指腸切除術をやっているし、産婦人科に行けば早産やら双子やら重症妊娠高血圧症候群やら、ハイリスク妊婦が毎日やってくる。
ついつい、「膵臓癌ってよくあるんだな」「早産の人って多いんだ‥自分の出産心配‥」とか思いたくなるが、目を覚まそう。そんなことはない。
こう思える事自体が、市中病院を研修することのメリットだ。
市中病院の外科を回ると虫垂炎、胆嚢炎、鼠径ヘルニア、右結腸切除術のオンパレード。1ヶ月の中で膵頭十二指腸切除は愚か、肝切除も非常に少ない機会だった。
ここで分かることは、大学病院には大学病院で見るべき疾患が、市中病院から集められている、ということである。
大学病院と市中病院。
医師の能力の単純な高い低いではない。
どの疾患のどの治療に特化しているか、ということが異なるのだ。
市中病院の外科医はそれこそ膵頭十二指腸切除など膵臓のOpe には疎いかもしれないが、その分全科当直、外科当直を経てCommon Disease の対応には成熟しているだろう。
初期研修医でローテートする中でも、自分に身につく能力の幅、深さの違いに驚くことがある。
市中病院で回っていると、「外科」と名前がついていても結局やっているのは外科+軽い内科、という状況になる。
大学病院で回ると「外科」の中でも「肝胆膵移植外科」、具体的には膵臓切除の術式や解剖に、やけに詳しくなる。実際には出来ないけれど。
この違いを意識し、複数の視点から医療の現場を見ることで、医師としての深みにもつながるんだろうなと思いながら、日々研修している。
それではまた。
次回は、「市中病院のマイナー外科をローテートする中で感じた総合診療医」というテーマである。是非フォローして待っていてほしい。ここまで読んでくれた皆様に、感謝申し上げます。
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