Undead
以前、「アンデッドガール・マーダーファルス」というアニメを観た。主人公は不死で、盗まれた首から下を取り戻すために旅をするお話。
不死は、ずっと世界を見ていられる楽しみはあるものの、世の中の理を知ってからは退屈そのものだろうと想像。ずっと同じことの繰り返し。同じような議論、同じような争い、同じような文化、同じような生活を繰り返す。
ずっと、差別や環境問題の話題は尽きないし、戦争は世界のどこかで必ず起きているだろうし、いじめや浮気、不倫の話題もなくならない。
服や音楽の流行も一巡したら繰り返されるし、絵画や建築も同じ。真新しいものに飛びついているようで、既に何十年も前に流行ったものだったりする。
達観して、人間の愚かさやバカさを観察し、呆れるのも面白そうだとも思うが。
加えて、不死ならば、命が軽くなる。何回も生き返れる(厳密には生き返りではないけど)から、いろいろな死を体験できるのではないか。
刺殺、銃殺、転落死…。手首を切って吹き出す血を見てみたいとか、首を切るのはどんな感覚なのかとか、心臓を刺してみたいとか、頭を撃ち抜かれるってどんな感じなのかとか、撃たれるってどんな感じなのかとか、「MIU404」の志摩みたいに向けられた銃口を相手を睨みながら自分に突きつけてみたいとか、「神様、仏様」の林檎様みたいに落ちたらどんな感じなのかとか、いろいろ興味はある。
死にたいとか、自分を殺したいと思った時に、その度にそれを実行して、何事もなかったかのように生き返る。それができたならどれだけ良いか、と思ったことは何回もある。
でも、死にすぎると死がつまらなくなると思う。それも同じことの繰り返し。同じパターンで死にたくなるだけで、手数がなくなる。
そして、現実の命は軽くないし、死は怖い。僕の場合、なかなか逝けないんじゃないか、という怖さがある。
重いからこそ、一つの命、一つの死に意味がある。その意味の大きさに人によって違いはあるけど、誰かの心には残ることには違いない。一部の例外を除いて。
自分の中で自分を殺しながら、誰かに残れるように生きたい。