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もうひとりの自分 第16話
時が過ぎ、気づけば40代後半。頭髪は段々薄くなり
白髪も増え始めた。
今年がいつなのかという感覚はもはやなく、あとは
いつお迎えが来るのか?待つだけである。
人気のない公園のベンチに屯して向こうにある色とりどりの花を見つめる毎日。
しかし毎日花ばかり見ているとなぜか知らないが
何かを書きたくなった。なぜか知らないが。
私の今住んでいる家は築何年あるかわからない古い
アパートである。家賃が1万円という激安物件。
事故物件なのか?と思うがこれといった霊障を受けた
ことは今日までない。
私は週に4日ほど廃品回収のアルバイトをしている。
ゴミの詰まった袋をただごみ収集車に放り投げるだけ
の作業。朝だけの仕事だが給料は意外といい。
寂れた生活だが、お金さえあるだけで十分である。
私は百円ショップでノートと筆記用具を購入して自宅
で何かを書き始めた。自分の人生のことである。
しかし何かを脚色をしなければ、私の人生は常に
寂れたものばかりだ。40代に入って初めて母以外
の人間と会ったぐらいだから。
第16話おわり。