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もうひとりの自分 最終回

始まりもあれば、終わりもある。
私は人生でずっとこの言葉から離れなかった。
どんなことがあろうと…

私は今何もない世界にいる。当然この時点で生きている
人間ではない。
しかし今までにいた下界での未練は微塵もない。
私が「いつ」「どこで」「いくつ」で死んだかは
気にしない。

人生百年時代かなんか知らないが人の一生とは
環境によって行き先が決まる。
そういうのを誰かが言った記憶はある。誰が言ったか
知らないが。

とにかく私は死んだ。しかしあるとき声が聞こえて
きた。
「すまん。また別の人間として下界に降りてくれ」

は?まあこれが神様からのお願いだったらしょうが
ねえな。

じゃあまたいちから赤ん坊となってどこの誰か
知らない女のお腹に入るとするか。

始まりもあれば、終わりもある。
しかし
終わりもあれば、再び始まりは必ずある。

要は「エンドレス」ということだな。
だがそれは別のどこかの話になるのだが…

「もうひとりの自分」 完

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