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もうひとりの自分 第15話

私はおそらく30代後半かもしれない。
私の体の衰えは半端ではない。
しかし顔はいかにもまだ40にはいっていないようだ。

私にはこのころ不思議なことがあった。
道を歩いていると道端に団子の入った容器を見つけて
拾った。まだ未開封のそれも賞味期限はまだある。
どうやら新品のみたらし団子だ。
買ったばかりで誤って落としたのか?
ちょうど腹が減っていた私は公園に行きみたらし団子を
食してみた。正真正銘のみたらし団子だ。
うん。美味い。

道端に落ちていたみたらし団子を食べたあと体内に
異変があったかといえば、何もない。

次の日。同じ場所を通ったとき、みたらし団子が
落ちていた位置に今度はキャラメルが落ちていた。
箱は未開封。踏み潰されることなく新品同様に
綺麗な状態だった。

早速中身を開けてひとつのキャラメルを食べた。
正真正銘キャラメルだった。美味い。12個入っていて
1個食べたからそれでも残り11個。自分としては
なんとか飢えを凌れる。

また次の日。みたらし団子、キャラメルが落ちていた
場所に今度は白菜の漬物の入った袋が落ちていた。
おいおいおい。さすがにそれはキツい。しかし
持ち帰った。家に戻りパックごはんと一緒に漬物を
食してみた。まぎれもなく白菜の漬物だ。

結果的にどれを食べても腹を壊すとかというのは
まったくなかった。
だがなぜこうも3日連続同じ場所の同じ位置にまだ
まだ食べれるものが無造作に落ちていたのだろう。

そこで翌日早朝から落とした犯人を見つけるべく
1日中張り込んだ。
だがその日現れることはなかった。
そして物も道端に落とさなかった。

あの3日間は偶然?
しかし翌日同じ場所を通ったら何と今度は食べ物では
なく茶封筒のようなものが落ちていた。
中身を見た。な、なんと本当のナマの現金が入って
いた。家に戻り数えてみた。
150万円。とんでもないことをしてしまった。
警察に届けるべきか。しかし何の身分もない私が
警察?
普通であれば窃盗剤であるが、その日以来ウンとも
すんともなかった。
その夜は150万円拾ったという喜びよりも強烈な
罪悪感に苛まれ、なかなか寝れなかった。

第15話おわり。

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