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もうひとりの自分 第11話
おそらくだが、もうそろそろ30を迎えてもいい年齢かも
しれない。なぜなら鏡に映る私の顔を見るとほうれい線
とかシワというシワが表れ始めた。
普段時間とか場所とか気にしない私のことだから
今世間で何が起きているのか、今日は何日だとか
知らない。
ちなみに私は今、とある事情があって「私の城」と
いうものを手に入れた。
と言っても古くて安い木造アパートの一室だけど。
しかし本当の私の部屋を手に入れた以上、安心して
落ち着けるとはこのことなのか。
そしてもう1つビッグニュースがある。それはなぜか
また私の手元に信じられないほどの大金がここにある
ということだ。
しかしながらこの経緯については別の回で詳しく
話すとしようか。
さてさすがに落ち着ける場所を手に入れ安心したのか、
この日は布団や枕などないまま畳の上でそのまま熟睡
した。
夢の中の私はなぜか街にいた。場所もわからなければ今自分が何歳か職業は何かと素性は不明である。
しかしズボンのポケットには1万円札5枚が入っている
こと、今私がいる街には多くの人や店があり、とある
ビルには街頭テレビが設置されておりどうやらとある
街の繁華街に今いることだけがわかっているくらい。
だがあまり人の多い場所に慣れないのか頭が真っ白な
私だった。
そこで奇妙な光景を目の当たりにする。
![](https://assets.st-note.com/img/1708298610532-SQMqFjsd0L.jpg?width=1200)
流線型のまるでどこかの星にある宇宙人が入ってそう
な近未来みたいな大きなビル。
大型商業施設のようだ。いろんな店が点在している。
お腹が減ったのでレストランに入った。レストラン
なんて久しぶりだな。何年いや何十年ぶりか。
注文してカツ丼を完食した私は会計をした。
店員「7000ルビーになります」
「え?」
店員「7000ルビーです」
「これじゃダメですか?」
私はポケットから1万円札を差し出した。店員が物珍しい
そうに札束を見つめた。
「何やってるの?早くしてくれない?」
私がイラついても店員は怪訝そうに私を見つめる。
隣のOLであろうか若い女性がポケットから小型テレビ
のようなものを取り出した。小型どころではない。
手のひらサイズのもうまるでメモ帳のようだった。
そのメモ帳サイズの物体を女性は何の躊躇なく、
レジに設置されている機器に置いた。チャリンという
金属音とともに女性は物体を取りポケットに入れて
その場を後にした。
唖然とする私をよそに店員が店長らしき太った人物に
こそこそ話す。その太った人物は私に声をかけた。
店長「申し訳ないがうちではこんなもの(札束)使えない
よ。あんたまさか!?」
私は咄嗟に逃げた。
店長「食い逃げだ!捕まえてくれ!」
店長の大声でその場にいた客たちが私を追いかける。
すると街のいろんなビルが一斉に私の顔が映し出した
。
「この男を始末してください。罪状・無銭飲食。
この男を仕留めた者には7万サファイアを差し上げ
ます。犯人の名前は神林竜蔵」
な、何なの?7万サファイアって!?
そして何度も言っているが私は山田利男だ!私は
神林龍蔵なる名前で殺される運命なのか!?
何もかもが身に覚えのない世界に私は迷いに迷った。
たとえ夢だろうと今日が西暦何年何月何日何時何分?
ここがどこだ?
すると街の名前はわからないが西暦何年何月何日か
がわかった。
「2222年2月22日」
それを見た瞬間、目を覚ました。
自分の城というものを持った時からお腹の虫が
鳴りっぱなしだ。
私はなぜか知らないが飲食店の前にいた。入ろうと
したが、さっきの夢のように変な雰囲気に巻き込まれて
も困る。
ここは慣れるしかない。そう慣れだ。
私は仕方なく家近くにあるスーパーで買い物した。
第11話おわり