『透明人間』
異様にシンプルな邦題に、まるでM・ナイト・シャマラン監督のトンデモ映画のような予告編に不安を抱いた『透明人間』。けど、蓋を開けるとオーソドックスな透明人間の恐怖とハイテクノロジーを見事に融合し、21世紀の透明人間を作り上げた!!
女に逃げられたボンボンの復讐劇なんだけど、その復讐の仕方がひねられていて面白い。そのために主人公が見えない恐怖に追い詰められる。何かがいそうな空間の見せ方も上手く、また透明人間が近くにいる演出も吐息や足跡を見せ巧み。主人公が透明人間にやられる様子は心霊現象のようでもあり、数々のスリラー、ホラー映画の脚本を手掛けたリー・ワネルならではの真骨頂。
そして、その透明人間がハイテクノロジー。光学研究の権威があるという設定の人物による透明人間。ある程度は予想は出来たが最近のスパイダーマンの敵っぽい感じ。このハイテク透明人間は『アップグレード』を監督したリー・ワネルだからこそとも言え、どうやら彼はハイテクノロジーによる恐怖の見せ方に長けてる、とみた。それと透明人間による透明人間 レビューサプライズの見せ方の『ソウ』の脚本家としての腕前があってこそであろう。
ルックスこそは微妙であるエリザベス・モスだが、彼女の心神喪失、精神的に参っているサマはそれらしく見えお見事。特に、異様に青白い、常に目の周りのクマが目立つ寝不足メイクが秀逸。化粧美人のすっぴんのようなブス可愛さがあり、そこにリアルさがある。
もちろんそんなブス可愛さばかりでなく、冒頭シーンの脱出劇から数々の透明人間とのバトルも面白い。
サプライズとハイテクノロジーと寝不足顔なエリザベス・モスに加え、オーソドックスなスリラー系BGMの良さにより、生まれ変わった透明人間。見事な古典のアップグレードはリー・ワネルのファンは必見である!!
評価:★★★★★
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