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オーストラリア ワーホリ  #17 地獄の始まり

レストランでの仕事が再び決まり、モーテルに住み込むことになったため、約1ヶ月お世話になったホストファミリーに別れを告げて引っ越した。オーナーに指定された住所へ向かうと、そこには日本でいうプレハブ小屋のような建物があった。

鍵を開けて中に入ると、六畳ほどのスペースにベッドと机があり、エアコンも完備されていた。洗濯機、トイレ、シャワーは外の別棟に設置されている。住むだけなら十分すぎる部屋だ。引っ越しを手伝ってくれたAに部屋を見せると、「こんなところにタダで住めるなんて羨ましすぎる」と驚いていた。

ここで半年働けば、家賃も食費もかからず、お金がかなり貯まるはずだ。貯まったら何をしようか――そんなことを考えながら眠りについた。

翌日、2度目の出勤。ほかのスタッフの視線は「またこいつ来たのか」とでも言いたげだったが、特に気にせず仕事を再開した。

レストランで最初の一週間を過ごし、あることに気がついた。それは、この町には若者がほとんどいないということだ。レストランの客の9割以上が高齢者だった。オーストラリアでの生活をより充実させるために、「コミュニティに属して、たくさん友達を作って遊びたい」と考えていた僕は、Facebookで若者向けのグループを探してみたが、驚くことに1つも見つからなかった。それならと、直接若者に話を聞こうと決めた。仕事終わりにレストランの目の前にあるビーチへ行き、そこで見かけた若者に声をかけてみた。

だが、話しかけた若者6人全員が「ごめん、ここに住んでないんだ」と答えた。

聞き取り調査を行ったビーチ

この瞬間、「本当にここで半年も過ごすのか…?」という絶望が漂った。

そして最初の1週間が過ぎ、給料日を迎えた。オーストラリアでは給料は毎週支払われる(場所によっては2週間に1度のこともある)。時給24ドル、1日8時間勤務。1週間分の給料を計算し、「1ヶ月働いたらこれくらいになるのか…!」とニヤついていた。

しかし、その矢先、オーナーからメッセージが届いた。

「今週の給料は24×8×5=○○○○ドル。そこから…」

嫌な予感がした。

「部屋代と食費が1日50ドル×7日分で、合計マイナス350ドル」

――はい、始まりました。

最初に仕事のオファーを受けたとき、「家賃は無料、食事も1日3食つける」と言われていた。「こんなおいしい話があるわけない」と疑ってはいたが、その予感は見事に的中した。正直、かなり萎えた。

抗議しようか迷ったが、母に相談すると「生きていられるだけで十分でしょ」と言われ、納得してしまった。いざこざを避けるため、結局何も言わず、給料を振り込んでもらうことにした。

ところが、問題はそれだけではなかった。

オーナーが給料から税金を差し引いていなかったのだ。オーストラリアでは雇用主が労働者の税金を天引きし、納税する義務がある。事前にTFN(納税者番号)を渡していたにもかかわらず、それが行われていなかった。

軽く調べてみると、「確定申告を怠ると罰金が科される」と書かれていたため、焦ってさらに詳しく調べた。それでも分からなかった部分をAに相談すると、「政府から通知が来るから、そのときに支払えば問題ない」とのことだった。

「まぁ、仕方ないか」と、とりあえず済ませた。

こうして、妥協で乗り切った最初の1週間。

とはいえ、ここで落ち込んでいても仕方ない。

明日からは2連休。家にいても何も起こらない。せっかくだし、どこか出かけてみるか。

次回:休日の過ごしかた

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じょー@学生ワーホリ
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