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オーストラリア ワーホリ  #16 クビ

初出勤の日、オーナーの都合により、初日だけホストファミリーの家から自転車でレストランに向かうことになった。自転車で約30分の距離だったため、余裕を持って45分前に出発した。

いつも通りペダルをこいでいると、「ガコッ、ガコッ」と異音がし、チェーンがうまく噛み合わず走行不能に。「これは神様が『行くな』と言っているのか?」などと思いながらも、自転車での通勤を断念し、家へ引き返した。ちょうどホストファザーが家にいたため、車で送ってもらい、無事にレストランへ到着。

初めての仕事にワクワクしながら、お客様対応を開始。持ち前の吸収力で次々と仕事をこなし、オーナーからも「仕事ができるね」と褒められ、内心ニヤニヤしていた。昼時を過ぎ、店が落ち着いた頃、皿を元の場所に戻す作業に取り掛かった。

その時、事件が起きた。

薄くて軽い皿を15枚ほど持ち上げ、頭の高さにある棚へ置こうとした瞬間、「ツルッ」と手が滑った。次の瞬間、「バリバリバリバリ……」と音を立て、近くに積まれていた皿まで巻き込み、合計25枚以上を粉砕。轟音を聞きつけたオーナーが鬼の形相で駆け寄り、「出てけ!」と一喝。神様の予言は正しかった。。。

中高時代の部活では、監督に「帰れ!」と言われても帰らないのが常識だった。しかし、この時ばかりは踏みとどまることもなく、素直に退散。

「悪かったな……」と反省しつつ帰宅。

Aに事情を話すと、慰めの言葉を期待していたのに、「なよなよしてんじゃねえよ。クビになったなら新しい仕事探せ。悩んでる時間がもったいねえ」と、まさかの一喝。その言葉でスイッチが入り、帰宅後すぐにショッピングモールへ走り、仕事探しを再開。

僕の仕事探しのスタイルはシンプルだ。気になる店に行き、オーナーを呼び出す。最高の笑顔で挨拶し、がっちり握手。軽く自己紹介をした後、「こんなこともあんなこともできます!僕を採用すれば絶対に貢献できます!」と熱意を伝える。最後に、「ご連絡お待ちしています!」と締めくくる。ポイントは、謙虚にならないこと!多少のハッタリでも、積極的に売り込むこと!印象に残れば勝ちなのだ。飲食店では、実際に料理を食べ、全然美味くないけど「めちゃくちゃ美味いですね!僕もここで働きたいです!」とオーナーにレジュメを渡すこともあった。

奥はスカスカ、7ドル寿司

そんな中、ふと考えた。「レストランに大迷惑をかけたまま、謝罪もせずに去ってしまった。やはり謝るべきだろう。」

「善は急げ」。そう思い立ち、翌日、レストランへ向かい、「昨日は申し訳ありませんでした」と謝罪した。すると、オーナーから予想外の言葉が。

「皿はたくさん割ったけど、それ以外は良かった。またうちで働いてよ。」

こうして、まさかの形で再びレストランで働けることになったのだった。

次回:悪夢の始まり

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じょー@学生ワーホリ
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