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リモート向けという表現~隔たってるね~

 お盆休みに突入しましたね。去年の僕はというとお盆休みではないけれど8月末にバンコクへ旅行に行った。壮大なお寺や激安屋台メシなど初めて触れるものに心躍った。絶対来年もタイに行くんだと決めた。しかし当然ながら今年は海外へは行けなさそうだ。

 このコロナ禍で観光は一番に、エンターテインメントも大きな打撃を受けた。スポーツ、音楽、演劇、お笑いなど全ての興行が一時ストップ。演者は表現の場所を、映像を介したいわゆるリモートという手段に限定されてしまった。現在でこそ無観客からスタートし、観客動員三分の一から半分程度で催してはいるがチケット欄にリモート配信チケットという項目が加わった。エンターテインメントは現場での臨場感よりも画面の向こうを意識するものに変わったのだ。

 「隔たってるね」はそんなコロナ禍から生まれた傑作コントである。名コント師として知られる東京03が完全リモートコントライブを開催した。ライブをリモート配信するというだけではない。演者もそれぞれが自宅で配信するコントなのだ。いそうでいない角ちゃんのようなキャラがリモート飲み会で浮きまくる様を映したコントは半年前では存在しえなかったし、リモートでしか実現しなかっただろう。コントが大好きな飯塚さんの貪欲さはすでに知っていたが本物の発明家だと感嘆した。腹を抱えて笑わせてもらった。文字通りコロナ禍を笑いに変えたのだ。


 また、音楽家 星野源さんも配信ライブを開催した。このリモートライブ、ただ単にライブDVDを観るようなものだと思っていたが、迫力を意識したDVDとは違ってプレイヤーの息づかいがより近く感じられた。それこそ小さなライブハウスで一緒に楽しんでいるような親近感を覚えたのだ。最後の曲で源さんは「リモートだっていいじゃん!」と叫んだ。東京03もそうだ。演者がこのコロナ禍においてリモートでいかに伝えるかを考え、そのなかでリアルにも勝るとも劣らないコンテンツが生み出されつつあると確信した。


 自分に置き換えて考えてみた。リモート配信でのボクシング。画面の向こうの人に伝わるボクシングってなんだろうと考えてボクシングを構成してみた。するとそもそも私はお客さんのことなど全く考えてこなかったことに気づいた。ボクシングをするモチベーションが、「このつらい時代に少しでも元気を与えたい。楽しんでもらいたい!」こう変わったときに初めてオリジナルのボクシングが出来た。コロナ禍をプラスに捉える。憧れのエンターテイナーは常に前衛的だ。そんな姿に、私も遅れをとってはいられない。

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