タコの介の浮きっぱなし 釣った! 書いた!
はじめまして。
わたしは紙の雑誌・書籍などの書く人(ライター)です。通称、タコの介といいます。
タコの介のこのnoteでは、かつては仕事そのものだった釣りを中心に、取材、書くこと、編集、本。そしてタコの介の仕事部屋の周辺のことなどを綴ってゆきたいと思います。どうぞよしなに。
■書く人のはずが編む人に
ライターのはずだったタコの介でしたが、ここ10年くらいは雑誌の編集長をやってました。いえ、編集者になるつもりはまったくありませんでした。
ただ、タコの介が釣り好きだっただけのことです。
あるとき、盛川宏(釣り界では知られた作家・故人)から「釣り雑誌やるから来い」と無理やり拉致されて編集者になりました。
タコの介たちが創刊した雑誌は、沖釣り専門誌で「つり丸」(隔週刊)といいます。
みなさん沖釣りって分かります? じつはタコの介も最初はピンとこなかったのです。タコの介の好きな釣りは、淡水のフライフィッシングとヘラブナ釣りです。なにしろ出身が山国信州ですから。
沖釣りとは陸ではなく、海の沖でやる釣りのことです。沖ですから船で釣ります。「海の船釣り」のことですね。
現代の釣りはジャンルがはっきりしています。海では沖釣り、投げ釣り、磯釣り、ボート釣り、防波堤の釣り。そして、それぞれに海のルアー釣り。淡水ではアユ釣り、ヘラブナ釣り、渓流釣り、コイ釣り、ワカサギ釣り。そして、ブラックバスを始めとする淡水のルアー釣り。ざっと上げてもこれだけあります。まだあるでしょう。
このジャンルのなかで、専門性が高い釣りには専門誌があります。沖釣り、磯釣り、海のルアー釣り、アユ釣り、渓流釣り、ヘラブナ釣り、淡水のルアーとフライの釣りなどです。
これらの釣りをする人は専門職なので、あまりほかの釣りはやりません。ま、やるとしてもシーズンオフくらいです。なかでも沖釣り、ルアー、ヘラブナ釣りは一年中やりますから、もっとも専門性の高い釣りといえます。
■激船酔い体質なのに沖釣り雑誌の編集者
タコの介は、そのプロはだしの職人のような釣り師が集まる沖釣り専門誌に、突然放りこまれたのです。それまで沖釣りなど、いっぺんもやったことはありません。しかもひどい船酔い体質だということが、船に乗って取材したときに分かってしまいました。
あれは……。いや、話は短めにします。
沖上がり(釣りを終えて船が港に戻ること)のとき、乗った船の船長がポツリと言ったのです。
「取材、ダメだったね」
「……!」
これが初めて船に乗って取材をしたときのことです。なにしろ、タコの介は船が港を出た瞬間から酔い、沖上がりまでトイレから出られなかったのです。
そのときタコの介は「この仕事は、この先もう続けられないだろう」と思いました。
ヘミングウエイの名作『二つの心臓の大きな川』では、ニックが満足な釣りをして帰るとき、〈あの湿地で釣りをする日は、この先いくらでも訪れるだろう〉と終わっているのに、タコの介はこのザマです。