現在のスポーツの在り方

私とスポーツ

私は、小中高とバスケをやっていた。中学では市内大会で優勝し、市の選抜チームにも入れたので「俺うまいんじゃね?」と少し天狗になるも、高校時代に現実を思い知らされる。ベンチに入ったり落とされたりを繰返す2年半を過ごし、高3の夏には十数年ぶりにインターハイに出場を果たすも、インターハイ本戦ではベンチから外される。2年以上、インターハイのために練習してきてインターハイでベンチを落とされたのは、18歳の自分にはこれでもかというほどの現実の突きつけられ方だった。

大学ではバスケを諦めラクロスに。下級生時の2年間はベンチにかすりすらしなかったが、3年生からベンチ入りを果たし4年ではスタメンとしてプレーし、関東地区のベスト4全国大会出場にもプレーで貢献でき、個人でもベスト12(野球でいうベスト9)にも選出された。社会人になってからもクラブチームに所属して全国大会に出場し、全盛期ほどのプレーはできなくなった今も選手は続けている。こんな風に、スポーツは常に私の近くにあった。

スポーツの運営

ラクロスにおいては、選手と併行して、リーグの運営にも携わってきた。会場となるスタジアムの観客導線を確保や、試合用具の搬出入といった雑多なものに始まり、社会人リーグのチェアマンとして観客動員を図る企画を立案し前年度比で観客動員を倍にしたこともある。ただこれらの運営は、善し悪しは別として、事実としてボランティアで行われている。ラクロスに限らず多くのアマチュアスポーツが「ボランティア」精神に支えられているという事実には、常々複雑な思いを抱いてきた。

する・見る・支える の方程式はどうあるべきなのか

スポーツは「する人」「見る人」「支える人」の3つのカテゴリーから成っているとよくいわれる。どことなく「する人」である選手が脚光を浴びる主役で、「支える人」であるチームスタッフだったり運営者は脇役で、「見る人」は下手をすれば文字通り単なるオーディエンスでしかない、というのが日本におけるスポーツの姿になっている感覚を筆者は持っている。特に、アマチュアスポーツにおいてはその構図ができあがってしまっており、硬直的な構図になっているといっても良いかもしれない。そんなもんだと私も思っていた。ところが、留学でそんな価値観は打ち砕かれた。通っていた学校がNCAA強豪校だったこともあり、「する・見る・支える」立場それぞれが洗練されており、全員が何かしらの場面で主役になっていた、そんな感覚を筆者は覚えた(詳細はこちらのブログをご参照)。日本とアメリカのこの方程式の差は何なのか?

アメリカ遠征帯同で見えたこと

昨年秋、留学時の人脈等を活用し母校ラクロス部史上初のアメリカ遠征をアレンジした。一回り年齢の違う現役の選手たちが巧みにSNSを駆使する姿に戸惑いを覚えつつも、彼らがどのように現地の選手や文化に対峙し何を学んでいくのか楽しみにしていた。いろんな局面でチームとして個人として成長していく学生を見るのは楽しかったが、1つ印象に残っているのは主将とのちょっとした会話だ。

主将「仕事休んでまで、帯同してもらってありがとうございます。なぜそこまでしてくれるんですか?」

筆者「留学して感じたけど、アメリカでは仕事との予定を調整して母校に何かしら還元するのは普通だよ。NCAAのラクロス部も毎週OB・OGが入れ替り立ち替りで練習にやってきて、メンタルトレーニングから卒業後のキャリア形成支援まで、いろんなサポートをするのが当たり前。筆者自身も同じ感覚でサポートしてるし、個人的にも遠征の調整とか帯同で学ぶこと多くて刺激が多いよ。」

主将「そうなんですか?普段は社会人の方から競技面で教えてもらうことは多いんですが、運営面なんかは学生が主体的にやっていることが多いので新鮮です。海外遠征もこれまでアイディアとしては出ていたんですが、なかなか学生だけで実現までこぎ着けられなかったのですが、社会人に入ってもらうと進み方が違いますね。」

筆者「おそらく、社会人になった母校のOB・OGたちも、私と同じように運営面を回すスキルはあると思うよ。それを現役に還元してこなかっただけじゃないかな。君も卒業したら競技面だけじゃなく運営面でもできる範囲で手を貸してあげてね。」

記載のとおり、アメリカではかつての「する人」が「支える人」になっていくのが自然な流れである。一方、日本ではかつての「する人」が「見る人」に落ち着いてしまうケースが多い気がしてならない。そんな人たちが「支える人」になれれば日本のスポーツの未来も継続的に成長していくのではないだろうか。

そんなスポーツの世界に、インフラ企業として何か一石面白いものを投じてみることができないか?そう思い、私は社内副業として当分の間(短くても1ヶ月程度)はスポーツビジネスについてドップリと検討するに至ったのだ。

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