
わちゃ・もちゃ・ぺったん行進曲は何故ああも儚いのか
前置き
わちゃもちゃぺったん行進曲の
— Joek/終乃オコジョ (@Joek_punos) February 19, 2021
ピコピコ耳コピカバーです🐧☀️👾#ハロハピ #バンドリ #ガルパ #bandori #cover pic.twitter.com/q0tHQraMDr
先日わちゃ・もちゃ・ぺったん行進曲(以降わちゃもちゃ)のピコピコ風カバーをTwitterに投稿した際「これは音楽的なエモポイントを解説しなければ!」という使命感にとらわれnoteのアカウントを設立しました。
わちゃもちゃを何百回と聴いてきたファンの方達もあまり"各楽器の動き"やアレンジについて考えながら聴いたことはないかもしれません。
今回は音楽好き、若しくはバンドリ好きが読むという前提でこの記事を書いていますので、どちらかにしか当てはまらない人は是非この機会にもう片方の分野にも足を踏み入れて見てください。沼はすぐそこです :)
注: 原曲若しくは私のアレンジで曲を確かめながら読むことをお勧めいたします。CDやサブスクなどでインスト版を聴ける方はそちらをお勧めいたします。
儚い...つまりそういうことさ。
タイトルにも書いたように、この曲には「儚い...(CV.田所あずさ)」ポイントが至る所に隠されています。その最たるものがメジャー6thというコード(和音)。
原曲ではイントロ(0:13),サビ前(1:13),サビ終わり(1:34)などで登場するハープやアウトロのピアノ(3:42)などがさりげな〜くこのコードを弾いています。
普通のメジャーコードとの違いは1音だけですがこの開放感、暖かさが絶妙にこの曲を儚くさせています。意識しないと聴き取れないような隠れされたところに儚さと云うのは宿るものですね(適当)
”敢えて弾かない” という優しさと思いやりの天才達
ハロー、ハッピーワールド!(以降ハロハピ )というバンドはメンバーの大半が破天荒なアホキャラという設定ですが、楽曲となると驚くほどお互いを尊重しあったアレンジをしていて尊いです(Elements Gardenの作曲陣に感謝...)
他楽曲「君がいなくちゃっ!(神曲)」はエモいコードの絨毯爆撃というパワーで圧倒する曲でしたが、わちゃもちゃでは「敢えて弾かない」そして「他人の動きをよく見る」ことでさりげなくお互いの良さを最大限に引き出しているように思いました(尊死)
いくつかポイントを挙げますと...
- 花音先輩(ドラム)がイントロで提示した裏拍(ハイハット)をAメロでは薫さん(左ギター)が引き継いでるのが素敵。
- 敢えてAメロ頭でベースを弾かないはぐみちゃん&薫さんは天才で儚い。
- それぞれの動きを理解し合うハロハピ 尊い。
- 敢えてサビで下にいくハモリ隊が毎度のこと儚い。
などわんさか出てきます。その中でも今回は敢えてベースを弾かないはぐみちゃん&薫さんとそれぞれの動きを理解し合うハロハピの尊さに注目しましょう。
Aメロの空中浮遊感ははぐみちゃんと薫様のチームプレイ
Aメロ頭(0:25~0:31)では花音先輩の裏拍を引き継いだ薫さん(左ギター)が裏拍を弾いています。キックドラムが表拍を支えてる中ギターが裏拍だけを強調することで軽やかな雰囲気を醸し出すことができます。
ですが!注目すべきは弾いているコードです。
コードにはルート音(根音)という「コードの方向性」を指し示す重要な音があるのですが、それを抜いて弾いているのでギターだけを聴いても「コレどんなコード進行なの???」と耳が迷子になってしまいます。(作中のペンちゃんのようですね)
基本このルート音などはベースが弾いてバンドを安定させるものですが、不安定な空中浮遊感を演出するためにはぐみちゃんも薫さんも"敢えて"ここでルートを弾くのを我慢しているのです!儚いぃっっっっ!
もちろんずっと空中浮遊させているわけではなく0:31~からははぐみちゃん(ベース)が、0:38~からは表拍の薫さん(右ギター)が入ってくるのですが、この最初の6秒が空中浮遊していたおかげでベースや表拍の安心感がより際立つというわけです。3バカの二人とは思えない策士ぶりに脱帽...
互いの動きを理解し合う 思いやりの権化
さて、次は魔境のBメロです。ここは儚いポイントがメチャクチャ多いのですがほとんど割愛して
「それでもやらなきゃ、誰がやるのDon't Give UP〜」(いぇっさ〜)
の「Give Up」(1:05)の動きに注目したいと思います。
Bメロでは花音先輩のメロディに「3度上のハモリ」が乗ります。(画像はBメロ頭 0:49~) このハモリは基本的にはメロディと同じ動きを3度上で行い、メロディをより華やかにしてくれるものです。
ところがなんということでしょう、キメの部分である「Give Up」(1:05)のメロディは音程が動いていません...! せっかく美味しいところなのに動かないなんてつまらない...!
メロディ Give(Bb)→Up(Bb) 音程が変わってない
そんな時でも慌てず綺麗にまとめてくれるのが我らが奥沢美咲ちゃん(設定上は曲のアレンジしてる子。空飛ぶクマの女の子。)
動かないメロディに対してハモリを動かせばいいじゃないか。とここだけハモリがメロディとは違う動きをしているのです!
ハモリ Give(D)→Up(Eb) 上に半音上がってる
更に! これに対しベースのはぐみちゃんが反対方向(下)に動いているので
ベース Give(Gb)→Up(F) 下に半音下がってる
結果このような形に!
綺麗に音が拡がっているのが見えるでしょうか...お互いがどこに向かうかをしっかり理解し合わないとできない動き!これを儚いと言わずしてなんというでしょうか!!あぁ...儚いっっ(CV.田所あずさ)
少し取り乱してしまいました。コード進行としては音がどんどん下に落ちていく中で、このように上下に拡がっていくのはとても音楽的で美しいものなのです。高校生バンド...恐ろしや(※中身はプロのミュージシャンです)
終わりに
文字数も大分増えてきたので今回はこの辺りで締めくくりますが、この曲にはまだまだハロハピメンバーの思いやりや儚さが詰まったポイントがたっっっくさんあります。特にBメロ-サビの薫さん(右ギター)なんかはドチャクソ儚いフェスティバルなのでまた機会があればnoteにまとめたいと思います。
是非次にわちゃもちゃをプレイする際には歌詞や花音先輩の可愛い歌声だけでなく、楽器の動きなどにも意識して聴いてみていただけるとファンとしては嬉しい限りです。