社長の気迫

経営者にとって必要な要素のひとつとして「気迫」があげられるのではと思っています。そして時代のうねりの真っ只中、この「気迫」がさらに重要になってきたのではないでしょうか?


30代の頃、私は沖縄No.1のダイビングサービス会社の統括マネージャーをしていました。異例のスピード昇進で、ちょっと図に載っていた時期だったと思います(笑。

ある時、社長の指示で東京進出の大プロジェクトの責任者を務めることになりました。社運をかけた大きなプロジェクト。私も一大決心をしてそのプロジェクトに臨みました。
全くの初めての試み。なかなか道が開かない中、それでも少しずつ成功の道筋が見え始めた時、社長からまさかの撤退の指示がきました。

到底、納得のいかない私は、社長にプロジェクトを続けるよう直談判をしました。しかし社長は決定を変えようとはしませんでした。

「現場も見ていないあなたの判断に納得いきません。社長は、普段から右向け右の社員は伸びないと言っていますよね!社員の意見を聞かないで会社は成長するんですか!!」と怒りに任せて反発したら、今まで無言で私の話を聞いていた社長のが突如、

『君は会社のこと考えているというが、私の方が何倍も考えているんだぁああ!!!いいから言うこと聞けぇーーーーーー!!』

衝撃が走りました。正直いうとその気迫にたじろいでしまいました。経営者の覚悟と本気で、頭をぶん殴られた衝撃が走ったのを今でも覚えています。

私も私なりに本気で会社のことを考えプロジェクトに取り組んでいました。しかし、社長の「本気」とその当時の私の「本気」の差に大きな差があったのでしょう。


その時の彼と私の本気にはどんな違いがあったのでしょうか?憶測になってしまいますが、私の「悔しい」というのは個としての感情で、社長も当然悔しいと思っていたと思うのですが、彼はそんなことしての感情を脇に置いて経営者としての判断を優先させたのでしょう。

彼の「気迫」の正体は、個を超越した「リーダーとしての覚悟」から来るものだったんではないかと今では思います。

もしかすると感情というのは、個としての立場に立った時に湧き上がるものなのかもしれません。感じた感情を一旦脇に置いて、リーダーという視点で状況を捉え、リーダーという視点で行動する。

あの時、社長から受け取った「大切なもの」を自分の中から呼び起こすタイミングなのかもしれません。今はそんなことを考えています。

H社長、ありがとうございます。

秋山ジョー

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