文章のCSSを意識する|書きものガタリ~物書きアレコレ~
言葉を定義せよ
文章のCSSみたいな。
そんな感覚の話です。
なんのことやらの方にはイメージしにくいかもですが、たとえば大見出しはフォントが何で級数はいくつ、みたいな決め事を先にしておいて、「ここのテキスト大見出しよ」って指定したら、どこでも同じ体裁が反映される=こっちの大見出しは明朝、あっちはゴシック、みたいにバラけず美しい!というやつです。
noteでも「大見出し」のスタイルが決めてあるから、我々は「ここ大見出しで」って設定するだけで全員が同じ表示になるわけですね。
一つ一つ個別に「フォントこれで、サイズこれで」と指定しなくていいので楽ちんです。
これね、文章でも、いやむしろ文章だから?あるような気がしています。
一時期、仕事で某ワインのSNSテキストを書いてまして。
例えばなんですが、
ワインの文脈で「グラス」って言う時、ボトルサーブに対してのグラスサーブっていう意味と、「グラスを傾ける」=乾杯する・飲むという意味と、二つあるんですよ。もちろん単に食器としての「グラス」もあります。
SNS用だとそんなに字数食えないので、少ない言葉で雰囲気を作る(それこそ「じゅんさい」!)技を駆使する必要がある中で、グラスサーブの意味で使った「グラス」と、乾杯の「グラス」を混在させられない。
……ほら。
なんか変じゃないです?
最初の「グラス」をグラスサーブに変えても、2回目の「グラス」が、グラスワインのチープ感を引きずってしまう。。
そこで、「グラス」をこの投稿の中でどういう定義にするか考えます。
お店でワイン飲むとき「ボトルサーブしかない(グラスサーブはそれ用の銘柄になってしまう)」のか、その銘柄がグラスでも飲めるのか、気になる方いるのではないでしょうか。
この銘柄が飲みたいんだけど、ボトルを飲み切るのは無理…そんな時に、グラスサーブや飲み切りボトルがあるよ、っていう情報は有益です。
となると、この投稿ではグラスや飲みきりボトルでも飲めるお店があることは伝えたいので、締めのほうには「グラス」を使わない表現がよいですね。
とまぁ、小説では流石にこんないかにもコピーな表現自体があまりないとは思いますが、アイテムや単語に作中での独自の意味合いや機能を設計するの、私は好きです。
以下に自作の小説で具体例を紹介します。
気付かれずに刷り込んでトドメ刺す
具体例① 「淵」
雨は止んだ…始まりの合図
はらり…(水面に葉が落ちる音。作中でオノマトペには漢字を当ててますが、これだけ平仮名)現とそうでない世界のロケーション切り替え
火のような舌…人でないモノ
具体例② 「火竜姫 – Invisible Moon –」
クロードの剣…生き別れたレアが持ち去ってしまった物で、その後の生きる支えや、火竜姫として貴族生活をしていた頃を象徴。まだ書いてないですが、手放す時、彼女は成長しているはず。
マルリルの花…架空の植物ですが、殺伐とした物語に情緒を演出するキーアイテム。
簡単ですがこんな感じ。
繰り返し出てくるので、最初はするっと読み流しても、2回目で「おっ」と思ってもらえれば嬉しい。
気付かれなくても、他にも細か〜い線を張ってたりします。
むしろ初見では気付かなくていい。(そのくらい夢中になってもらえる力量が欲しい!)
トドメの一文が、深く深く刺さってくれれば。
すべてはそのため、です。
狙い通りになってるのかは、わからないですが。
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