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「競争力を高める練習法」、「男子と女子の指導の違い」、「COACHアドキンスから学んだこと」

こんにちは。

デフバスケットボール女子日本代表監督の伊藤丈泰です!

前回、NBAワシントンウィザーズのアシスタントコーチであるデビッド・アドキンスさんから大神雄子さんが考えたことをZOOMにて話を伺いました。

今回のテーマは3つありました。

①「競争力を高める練習法」

②男子と女子の違い

③アドキンスコーチから学んだこと、感じたこと

これらのテーマを踏まえ、フリーディスカッションが行われました。

1.「アドキンスさんからの学びで、何が一番心に刺さったか?」

アドキンスコーチからの学びに関しては、私の前回の記事をご覧いただけるとわかりやすいかと思います。

大神雄子さんは、

「結局バスケ指導は人と人。

言葉の捉え方が大切。

バスケットボールはハビットスポーツ。

だから反復が大切。

反復は学ぶため=罰ではない。

そして、その中で日本のバスケットボール指導におけるワンハンドシュートとボースハンドシュートとは、どこから生まれてきたのだろう?という疑問も持たれていた。

2.男子と女子の違い

大神雄子さんは桜花学園高校→JX、バリバリの各カテゴリーでトップレベルでやってきた選手である。

だから、ワンハンドシュートは女子でも当たり前。

男子の指導法をやろうとすると、女子では適用できないなど、男女のバスケの差を感じていた。

東京医療保健大学の恩塚HCは高校生指導者時代、ゲームブレイカーを用いて女子高校生にジノビリステップを教えていたという。当時は半月板が壊れてしまうなど否定的に捉えられたこともあったが恩塚HCは「女子選手も教えればできるんですよー!」と、目を輝かせていたという。

ただアドキンスコーチも伝えていたが、

「言葉の伝え方は男女の違いがある」

と言っていた。

女子の方が集団での結束力が強いこと。

女子の方がやる!というコミットが強いこと。

女子日本代表での活動も回想しながら、

誰かのシュートなど一つの成功をみんなで喜ぶという文化があった。

コートネームも日本女子特有の文化ではないか?とのことだった。

シュートが決まった時のパフォーマンスなど、監督からの指示ではなく選手主導で内容を決めていたのだという。

3.女子トッププレイヤーの良さ

⭐︎プレーの判断の早さがすごい。

⭐︎ディフェンスのローテーションの迷いがない。

→全員がそのローテーションにつながっていこうと連鎖して守れる。

⭐︎練習で手を抜くことがない。

→規律のある練習をしている


4.自分が正しい(正義)と思ったら危険。

いろんなところから学ぶことが大切だと感じた。

日本は「ケンカ=悪」と捉えがち。

トラッシュトークも一つの競争心からくる表現である。


5.ペナルティについて

練習時にミスや負けたらペナルティ(罰)が必要かが熱く議論された。

ペナルティは「負けたくない!」という気持ちを学ぶための一つの方法。

競争すること。

勝ち負けを意識してこだわること。

ペナルティ自体には意味がないという考えだった。

そして、指導者自身に「人を動かす言葉を持っているか」が大切である。


6.オンとオフを切り替えられる指導者

オンとオフの切り替えが素晴らしい指導者として名前があがったのは

桜花学園高校の井上眞一先生だった。

体育館でのプレーに対する激しい指導。

繰り返し、できなければ叱る。

チームのスタンダードを築き上げるために徹底する。


練習が終わり、併設された寮に戻ると

怒って指導していた選手に対しても笑顔で接する。

このあたりは、卒業生からも口コミでそのような情報をよく耳にする。

練習中のスイッチが入っている井上先生はとにかく細かく、できるまで徹底して教え込む。

そしてさらに素晴らしいのは、その指導で育った3年生が

2年間で培ってきたものを後輩たちにフォローする姿である。

これまでのトレーニングの中で練習の意図を理解できているからこそできる。


その他にもオンコートとオフコートで大事にしていることとして

○会話ではバスケットではないことをするようにしている。

○オンコートの指導では、映像を持ってきて具体的に見せて選手を乗せる。

○バスケットとは全く関係ないことを話をして、そこから選手の性格を知る。

などなど。

日本はまだまだ部活動文化が根強いため、年中バスケバスケ…になりがちである。

海外ではシーズン制が導入され、様々なことから学ぶ環境がある。

もちろん宗教上の理由で、日曜日は教会にいくなど、月曜日になったら仲間たちと

「おはよう!日曜日は何してた?」

など、バスケ以外のことをコミュニケーションする場面があるように思う。

こうやって日本の文化も大切にしながら、海外のルーツが選手たちに入っていくことは素晴らしいことである。

トヨタ自動車アンテロープスもベックHCであったりルーカスHCであったりと、様々な国のHCが独自の文化をもとにチームを創り上げていく。

海外のHCたちは単純に家族を大切にする人が多い印象です。

また余談ですが、WJBLの選手は独身の選手が多い…と大神雄子さんは語った。


7.日本人としての特徴の確立

他国と比較して、「自分たち(日本)の良さは何なのか?」という問いは大事。

スペインも育成年代から、様々な国の良さを意識しながら「自分たちは何を大切にするのか?」

という問いを大切にしていた。

その中でスペインは「闘争心」を育てるというキーワードが出てきた。

日本人も世界の舞台で結果を出している。特徴として

①スピード

②リスペクトの心(アドキンスコーチも絶賛していました)

そして、このあとの3つ目に「闘争心」が入ってくるようにすることができれば、今の日本代表ももう一つ上のネクストステージへステップアップできるのではとのことでした。


サッカーの本田圭佑選手の問いも話題になりました。

「プロになったら、コーチは必要なのか?」

コーチはマネージャーともいいます。これは、また考えていきたいです。


どんな時も物事の本質を常に求め続けることが大切です。


8.コーチとして大切にしていきたいこと

前回のアルバルク東京のルカHCから直接話を聞いた時にも、ルカHCはやはり選手に求めることはとても厳しいと思いました。

そこにコーチとしての哲学があるようにも思いました。

コーチは自分の中のスタンダードをどれだけ上げられるか。

過去の自分をどんどん上回れるように自分を高めることが必要。

また、コーチが「ジェスチャー」や「表情」などの身体表現をすることが大切だということでした。大神雄子さん自身が大学院で「身体表現論」を学んでおり、日本のコーチはもっと学ぶといいとおっしゃられていました。

1番最初の話に戻りますが、コーチングは人と人です。

相手に伝えるテクニックはどんどん磨いていきたいですね。

私自身も教師として勤務校の女子バスケ部を顧問する際に、選手との距離感は毎年考えてきました。

「HCはこうあるべきだ!」と怒鳴り散らしていた時もありました。

今ではボトムアップ理論を大切にし、選手に考えさせること。観守ることを大切にしています。

会話の内容も女子の選手なので、偏りがないようにしたり言葉選びを気をつけたりしています。

また集団をどう創り上げていくのか。

バラバラなチームはチームの目標設定をすること。

そのチームの目標を叶えるために、個人の目標を考えること。

その個人の目標を中間で選手にフィードバックしてあげること。

貢献していることを実感させて、モチベーションをあげること。

上記のことを大切にしていくとのこと。

けど、いろんな考え方があります。

選手とご飯は食べに行かない。

→選手と友達になる必要はないから。ただ、SNSはチェックするようにしている。

など。選手自身も「コーチたちは自分のことを考えてくれている。」と感じてくれるようにすればいい。

コーチ自身も、「こうあるべき」から解放されて自分を出していくことも大切である。

自己理解をして、自分が楽になって理解してもらえるようになるといい。

コーチングに正解はない。常に勉強だと感じました。

9.ラストメッセージ

・悲観的にならず、今だから楽しめることに取り組むこと。

・コロナは誰にもコントロールできない。何年後かに「あの時、あれをやっていてよかった!」と思える日々を過ごそう。

・常に上機嫌で!堂々と恥をかいていこう!

・コロナでもバスケットボールがなくなることはない。プレーできなくても、バスケットボールを学ぶことはできる。プレーできるその日がくるまで、一生懸命準備をしましょう。ネガティブよりポジティブであろう!


今回は以上です。

3500文字!

次回はユタジャズからクリーブランドキャバリアーズのトップアシスタントコーチに昇進されたアントニオラングACとのお話です。

ありがとうございました!


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