実録発達障がい2・自分の疲れに気づかない
「はっきり言って、お母さんより、あなたのほうが深刻です」
これは私が、ご近所の接骨院で、実際に言われてしまった言葉です。
一体何がどうしてそうなったのか。発達障がいの人が健康に気をくばる上での、ちょっとした落とし穴について、今回はお話しいたします。
ことの始まりは8月初旬、母が通っている接骨医院を訪ねてみたときのことです。押しても揉んでもどうしようもなかった母の肩こりを治してくださった医院ということで、我が家での信頼はかなりのもの。物は試しと、私もお世話になってみることにしたのです。
結果は……なんと、私もバッキバキに肩こりしていました!
肩どころか背中から腰まで、全身くまなく板のような状態。緊張して背筋を伸ばした「気をつけ」の状態で、そのまま固まってしまっている……というのが、院長先生の見立てでした。
ここで疑問に思った方もおいででしょう。「そんなにひどい肩こりなのに、自分では気づかなかったのか?」と。
はい、気づかなかったのです……痛いとかつらいとかいう症状を、自分ではまったく感じなかったからです!
発達障がいの人は「感覚過敏」という、音や匂いなど、特定の感覚に対してとても敏感な体質を持っていることがあります。では何に対しても敏感なのかと言えば、実は特定の感覚に対しては、やたらと反応が鈍いことがあるのです。
(この体質には「感覚鈍麻」という名前がついています)
感覚鈍麻が厄介なのは「鈍い・気づかない」だけであって「特別体が頑丈なわけではない」というところ。痛いとかつらいとか自覚しはじめた時には、手遅れ一歩手前になっていることもありうるわけです……今回の私のように。
体も心も、異常がひどくなってから健康に戻すのは大変です。
元気なうちに、予防診療としてかかりつけのお医者様を準備すること、信頼できる専門家のお話を素直に聞き入れること。もちろん誰にとっても大切なことですが、発達障がいの人は特に気を配ったほうがいいと、痛感させてくれる出来事でした。
皆様もどうか、ご自愛くださいますよう……私の肩はいまだに治療中です。