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アラフィフの転職活動のリアル⑦

採用の電話をもらったのは7月の半ばだった。
よろしくお願いします、と返事をし、8月から採用となった。

それから数日後、最初に面接をしてくれた、私の直属の上司となる女性から詳細についての連絡があった。
8月2日の月曜日が初出勤となるが、朝イチからその上司はいないという。
ん?では私はまずはどうすれば、と少々戸惑っていると、ジョウビタキさん、8月1日の日曜日は出勤できますか?と聞かれた。
なんでも、私が携わる仕事を引き継いでくれる方が、家庭の事情により現在日曜日しか来ることができないとのこと。
日曜日に私が行くことができれば引き継ぎもでき、上司のいない翌日は振り替えでお休みしてください、ということになった。

初日からそんなもん?と、若干の違和感を感じたが、小さな事務所であればそんなこともあるんだろう、なんて思って、私は了解した。

ちなみに私が従事するのは、給与や勤怠に関わる総務的なことらしい。
税理士事務所でのパート時代、給与計算をする社員さんの手伝いはしたことはあったが、給与計算なんてしたことない。
でも、引継ぎをしてくれるみたいだからまあなんとかなるか、とのんきに構えていた。

8月1日日曜日になった。
少々緊張しながらの初出社。出勤しているのは上司と、引継ぎをしてくれるAさん。優しい感じの方だった。Aさんはすでに正社員からパートに転換していた。私に引継ぎが済んだら当分の間休業するらしい。
私が勤務する事務所は少人数なのだが、とある事業所と連携していて、給与計算は50人分くらいあった。
のっけから勤怠チェック、給与チェック。
初めてのこと、なんなら15年以上ぶりの正社員。
翌日は振り替え休日だけれど、火曜日からはAさんはいない。
上司は仕事できる、って感じだけど、たぶんAさんの実務には関与していない。
二人きりになったとき、Aさんがそっと私にたずねた。
よくここに入ったね。給料も安いし、引継ぎもこんなんだし。
私は家庭の事情でほとんど来ることはできない状況だから、ジョウビタキさん大変だと思う。今までも、何人もすぐやめたんだよーこの事務所。
と、内容はそんな感じ。

いい気分はしなかったが、いうほど驚きもしなかった。
だって、そんないい職場が今の私を採用するわけない。
人がすぐにでも欲しいから私を雇ったのだろうとうっすら思っていたが、それがはっきりした。
初対面だがAさんはきっといい人だ。多分心配して言ってくれているということもわかった。
後でわかることだが、Aさんが心配したいちばんの理由は他にあったのだが。

その時の私はまだその理由に気づいていなかったので、まあこんなもんだろうと思っていた。
事務所は自宅から自転車で15分。きれいな建物。基本的には定時で終わる。
今の私には十分じゃないか。
私は、どんなことがあっても1年はここで働こう、そう決めた。


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