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アラフィフの転職活動のリアル⑫
土曜日にひとつ目の事務所のWeb面接を受けた。所長の男性と、おそらく管理職の女性。男性は私より10は年上か。女性は同じくらいか、少し下かもしれない。
志望動機、今の状況、これからのこと、ある程度予想された質問によって面接が進められた。緊張はしたがものすごく大変だということもなかった。30分程度で終了したのち、では、次は事務所に来てくださいと言われた。ほっとした。まだ不採用ではない。
簡単なPCスキルのテストをするとのことだったので、ネットで、転職、PCスキルチェック、などと検索して、こんな感じかなーという程度のPC操作について確認し頭に入れて行った。
面接当日。一度Web面接で面識があったためそこまでは緊張していなかった。事務所内に通される。応接室、と言っても、スタッフが仕事をしているフロア内を区切って応接セットがある、という感じ。皆さんの電話対応の声なども聞こえる環境だ。
最初にPCスキルチェック。制限時間内にWordの文章を作成するもの。まあ、なんとかできた。一応現役事務員だから。
さて、次。とある書類を渡されて、制限時間内に目を通す。その後その書類の内容について所長とおそらく管理職の女性にプレゼンをするというもの。
さすがに緊張…でもやるしかない。書類に目を通し始めたが、電話をしている所長の声が大きくて、それも結構語気が荒く、どうしても耳に入ってくる。しかも、書類の内容が、経験の無い私にはなんのことやらさっぱり分からない。
そうこうするうちに制限時間がやってきた。どーん、と私の前に座る所長と管理職(たぶん)の女性。
じゃ、どうぞ、と所長。じゃ、どうぞ?え、そうなの?!と思いつつ、だけど口にすることはもちろんできず、たどたどしくプレゼンらしきものを始めてみた。でもそもそもよく分からない内容なうえに、いったい何を話してよいのやらもわからない。おそらくだんだんイライラしはじめた所長が、お客さんにこの内容を勧めるように話してくれ、と言う。わかりました、と自分の中で精いっぱいの説明をしたが、もう限界を感じていた。もう帰りたい…、すみません、私はこちらの事務所に応募する資格も無い者でした、のこのこ来てしまいすみませんでしたー!と大声で謝って走り去りたかった。
イライラしながらもストップをかけてくれない所長に、管理職らしき女性が、もういいんじゃないですか、と耳打ちする。ありがとうございます、もういいです、と泣きそうになっていたらやっとその時間が終わった。
終わるやいなや、じゃ、今日はどうも、結果はまた後程連絡します、と所長に言われ、私はコートを片手にありがとうござましたとだけ挨拶をして、そそくさと事務所を出た。転がるように事務所が入っているビルの階段をかけ降り、あーこわかったー!とつい口に出してしまった。
この時点で採用される可能性はゼロだが、万が一採用されることがあっても断ろう、あの所長の下では働けない、と心に決めた。まあ、断ろう、と考える自体ずうずうしい考えだけど。
結果、もちろん不採用のメールが来た。最初から採るつもりなどなかったのだろう。とても優秀な人が来たら採用しても良かったのかもしれない。
50歳近くになって転職しようとして連絡してくる人間(わたし)なんだから、もっと能力があって当たり前と思っていたのかもしれない。あまりに期待に応えられなくてあきれられたのかも…などと、しばらくはその所長の圧が頭から離れなかった。
転職したいアラフィフに求められる能力は低くない。年の功で最初の面接はそつなくこなせても、実際に雇い主が求めている仕事のスキルを試してみようとしたときに粗が出る。あの面接はほんとうにいやだったけど、入ってからため息をつかれるより良かったと思おう。
そのことを身をもって感じたわたしは、ふたつ目の事務所の面接に向かった。