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アラフィフの転職活動のリアル⑧

約20年ぶりの正社員。
パート社員とはやはり何もかもちがう。
少しずつ慣れていけばいいですよ、と言われつつ、そんな余裕もない。
もともと人員に余裕がある事務所ではないのに、前任者は出社することもなく、初回から合わせて2、3回日曜日に一緒に仕事をした、という感じ。
スタッフ全員が日々の仕事をこなしていかなければ回っていかない状況。
とにかく毎日必死だった。

まあ、でもやるしかない。
なんとか雇ってもらえたんだから。
朝からしんどいなあ、と感じても、そう思って出勤した。

しんどいながらもパート勤務では得られない、仕事を任される感覚、発言できる感覚に満足もしていた。
そもそも、このままでは自分のスキルはどうなるのだろう、と思って一念発起した正社員への転職活動だったのだから。

正直、独身ひとりでこの給料では…というレベルの手取りだったのだが、
20年近くパート主婦の特にスキルも無い中年を雇う職場はこんなものかもしれない。労働に見合った給与の額というのはあるのだろうと思っていた。

そんな中で、私は主に事務所の職員と、その職能団体に付随している、とある事業所の人たちの労務管理をしていた。
夏に入社し、毎月の給与計算、有給管理、入社退社の手続き、傷病手当金の申請などなど、全く分からないことをほとんど誰にも教えられず進めなければならず、毎回、ネット検索、窓口に電話、今までの書類を見返すということの繰り返しだった。とても大切なことなのに、ちゃんとできているかわからないことへの不安。何度ハローワークと年金事務所に電話しただろう。それでも不安だった。本来あってはならないことだがそもそも意味が分かっておらず間違いも何度もし、その都度修正をしてなんとかこなした。
私にとっての最大の山場は年末調整で、自分で本を買って勉強をした。入社して4か月くらいで60人以上の年末調整をひとりで処理した。私一人でいいのかー?と思いつつ、何とか終わらせた。顧問税理士という人が来て、最終チェックをしてくれるという最後の安心感はあったが、たずねられても即答できないことも多く、何となくすっきりとせず1年目の年末調整を終えた。

あの頃から3年ほどが経ち、私は3回の年末調整の処理をした。
1回目の年末調整の後、どんなことがあってもこの事務所でもう1回は年末調整をしよう、と決めていた。もう一度携わったら、わかることも増えるだろうと思ったし、なにより、もっとちゃんとわかった状態で処理をしたかったから。

思いがけず携わることになった労務管理の仕事だったが、知識がなければできないことだけれど、知識を得ればちゃんと手続きをすることができる。面白いな、と思った。そして、もっとちゃんと学びたいなと思うようになっていった。



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