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東京エレクトロンはホワイト企業か?人的資本データから分析

はじめに

本記事は、東京エレクトロン株式会社(以下、東京エレクトロン)のホワイト企業度を評価することを目的としています。

転職検討者や人的資本データを重視する経営者・人事部門にとって有益な情報を提供するために、客観的な分析に基づき、問題点も指摘しながら総合的な評価を行います。

東京エレクトロンは、半導体・FPD製造装置のリーディングカンパニーです。「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念を掲げ、世界中で事業を展開しています。

「ホワイト企業」とは、厚生労働省の「ホワイト企業認定制度」の評価基準に加え、本レポートでは下記の条件を満たす企業と定義します。

  • 健全な経営と優れたビジネスモデル

  • ワーク・ライフ・バランス

  • 人材育成

  • ダイバーシティ&インクルージョン

  • 労働安全衛生

  • 公正な処遇

データ分析

経営成績

  • 財務状況: 2023年3月期の連結売上高は2兆2,090億円、連結純利益は4,716億円と、好調な業績を維持しています。(有価証券報告書に記載) 自己資本比率は68.7%と高く、安定しており、財務基盤は非常に強固です。(有価証券報告書に記載)

  • 従業員一人当たり売上高: 単体従業員数は1,969人、連結従業員数は17,204人です。(有価証券報告書に記載) 単体従業員一人当たり売上高は約11億円、連結従業員一人当たり売上高は約1.3億円と、製造業としては高い水準です。これは、高度な技術力と効率的なビジネスモデルを構築し、高付加価値を生み出していることを示唆しています。

待遇面

  • 平均年収: 平均年収は1,273万円(平均年齢: 43.7歳)と非常に高い水準です。(有価証券報告書に記載)

  • 賃金格差: 男女間の賃金格差は28.80%で正直低いです。「同一職群・同一等級においては男女間の賃金差異はない」と表現(有価証券報告書に記載) はこの弱みを少し隠そうとしている印象を受けます。等級構成の男女比に差があることでの賃金格差が大きいことが予想されます。

  • 人事評価制度の透明性: グローバル共通の等級制度(GTC)と目標・コンピテンシーに基づく絶対評価制度を導入しています。(コーポレートサイトに記載) 評価制度の詳細な情報公開は限定的ですが、高い透明性と公正性を維持するために、多面評価や評定者研修などを実施しています。(コーポレートサイトに記載)

ワーク・ライフ・バランス

  • 平均労働時間: データは開示されていません。

  • 月間平均残業時間: 35.1時間と少し多い印象です。

  • 有給休暇取得率: 80.6%と高い水準です。(有価証券報告書に記載) 休暇取得を促進する様々な取り組みが奏功していると考えられます。

  • 育児休業取得率: 女性100%、男性28.8%です。(有価証券報告書に記載) 女性の取得率は非常に高い水準ですが、男性の取得率向上は今後の課題です。小学校卒業まで育児勤務時間短縮制度の利用が可能です。(コーポレートサイトに記載)

人材育成

  • 研修制度の内容と費用: 社内共通の教育機関「TEL UNIVERSITY」を設置し、階層別・目的別の研修プログラムを提供しています。(コーポレートサイトに記載) 研修費用はグローバル全体で5.4億円、1人当たり約3万円です。(コーポレートサイトに記載) 。一人あたりの研修費は大企業にしては少ない印象ですが、LinkedIn Learningなど、オンライン研修も充実させており、社員の主体的な学習を支援しています。(コーポレートサイトに記載)

  • 自己啓発支援制度の有無: 詳細は不明ですが、Linkedin Learning等のオンライン学習プラットフォームが利用可能であり、自己啓発を促進する環境が整っていると考えられます。(コーポレートサイトに記載)

ダイバーシティ&インクルージョン

  • 女性管理職比率: 2.7%と正直低い水準と言わざるを言えません。(有価証券報告書に記載) 2027年3月期までに5%とする目標を掲げて取り組みを強化している(有価証券報告書に記載)ようですが、女性が働きやすい会社とはいえないかもしれません。

  • 採用活動: 新卒採用が男性281名、女性72名、キャリア採用が男性551名、女性73名でした。中途採用比率は43.4%です。(コーポレートサイトに記載) キャリア採用を積極的に活用しており、興味がある方にはチャンスです。今すぐビズリーチに登録を!

  • 外国人従業員比率: データは開示されていませんでしたが、外国人社員の管理職比率は0.5%という記載がコーポレートサイトにありました。グローバルに展開する企業とはいえ、ドメスティックな企業と言えそうです。逆に言うと、日本人には働きやすい環境かもしれません。

  • 障害者雇用率: 2.43%と法定雇用率(2.3%)を上回っています。(コーポレートサイトに記載) 積極的とまでは言えませんが、最低ラインは超えているという意味でちゃんとはしていますね。

労働安全衛生

  • 労働災害発生件数: 休業災害3件(うち通勤災害3件)、死亡災害0件です。(有価証券報告書に記載) 。通勤災害というのは、通勤中に転んだというような、会社のせいではない案件も含まれますので、問題なさそうです。

  • 健康診断受診率: 健康診断再検査受診率は100%です。(有価証券報告書に記載) 健康管理を徹底していることが分かります。

まとめ

東京エレクトロンは、高い平均年収、充実した人材育成制度、ワーク・ライフ・バランスへの配慮など、ホワイト企業としての魅力を多く備えています。特に教育・研修制度は非常に充実しており、社員の成長意欲を高く評価していることが伺えます。

一方、女性管理職比率の低さや外国人従業員比率の未開示など、ダイバーシティ&インクルージョンに関する情報開示の不足が課題として挙げられます。グローバル企業として、より透明性の高い情報開示が期待されます。

以上が人的資本データから見る、東京エレクトロンのホワイト企業分析でした。

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