三井不動産はホワイト企業か?人的資本データから分析
はじめに
本シリーズでは、有価証券報告書や企業サイトから人的資本データを読み解き、特定の企業を「ホワイト企業」として多角的に評価して、転職検討者や人的資本データを重視する経営者・人事部門にとって有益な情報になることを目指します。
本日の分析対象は、総合不動産大手の三井不動産株式会社(以下、三井不動産)です。就活ランキングでも上位の人気企業ですね。一体どんな人的資本データになっているのでしょうか?
では早速まいりましょう。
経営成績
財務状況: 2023年3月期の連結売上高は2兆2,691億円、連結純利益は1,969億円と、好調な業績を維持しています。(有価証券報告書に記載) 自己資本比率は32.8%と、不動産業界では健全な水準と言えるでしょう。(有価証券報告書に記載)
従業員一人当たり売上高: 単体従業員数は1,973人、連結従業員数は24,706人です。(有価証券報告書に記載) 単体従業員一人当たり売上高は約11億円、連結従業員一人当たり売上高は約9,100万円と、業界内では高い水準です。これは、大規模開発や多角的な事業展開による収益力の高さを示唆しています。
待遇面
平均年収: 平均年収は1,273万円(平均年齢: 40.2歳)と非常に高い水準です。(有価証券報告書に記載)
賃金格差: 男女間の賃金格差は48.6%と、日本企業の平均と比較しても大きいと言わざるを得ません。(有価証券報告書に記載) 同一職掌・同一資格においては男女間の賃金差異はないと記載されていますが(有価証券報告書に記載) 、管理職に占める女性の割合が低い(7.7%:有価証券報告書に記載) ことが、賃金格差の大きな要因となっていると考えられます。
人事評価制度の透明性: グレード制を採用し、目標管理制度と多面評価を組み合わせた人事評価制度を導入しています。(コーポレートサイトに記載) グレードは職務等級であり、目標管理制度では個人の目標設定と達成度評価を行い、多面評価では上司だけでなく、同僚や部下からも評価を受けることで、より多角的な評価を実施しています。評価制度の詳細な情報公開は限定的ですが、公正な評価の実施に努めている姿勢が伺えます。
労働環境
平均労働時間: データは開示されていません。
月間平均残業時間: 11.0時間と、非常に低い水準となっています。大企業の中でもかなりホワイトな部類です。
有給休暇取得率: 16.2日と、全労働者の平均(2021年度: 10.0日: 厚生労働省調べ) を大きく上回っており、取得しやすい環境が整っていると考えられます。(有価証券報告書に記載)
育児休業取得率: 女性は96%、男性は116.6%と、女性は非常に高い水準です。(有価証券報告書に記載) 男性の育児休業取得率が100%を超えているのは育児休業・出生時育児休業・育児を目的とした休暇のいずれかを取得したのべ人数のためです。それを差し引いても充分なスコアと言えます。小学校卒業まで育児勤務時間短縮制度も利用可能です。(コーポレートサイトに記載)
離職率:0.93%とかなり低いです。高待遇かつ残業も低く、居心地のいい企業なのは間違いなさそうです。
人材育成
研修制度の内容と費用: 階層別・職種別研修、eラーニングなど、多様な研修プログラムを提供しています。(コーポレートサイトに記載) 研修費用は非開示ですが、社員の専門性向上に力を入れていることが伺えます。
自己啓発支援制度の有無: 資格取得支援、通信教育補助など、充実した自己啓発支援制度を設けています。(コーポレートサイトに記載)
多様性(ダイバーシティ)
女性管理職比率: 7.7%と低い水準です。(有価証券報告書に記載) 2023年度には16.5%、2024年度には19.7%を目標としています。(人事データ: 三井不動産コーポレートサイトに記載)正直めちゃくちゃ高い目標ですが、経営陣のコミットに期待です。
新卒採用数とキャリア採用数の比較(男女別)と中途採用比率: 2024年度の新卒採用は男性35名、女性28名、キャリア採用は男性24名、女性25名非開示でした。キャリア採用比率は45%かなり高いです。(有価証券報告書に記載)三井不動産に行きたい人はいますぐビズリーチに登録を!また、女性比率が非常に高く、女性も働きやすい環境と言えます。経営陣も女性活躍推進に本気なのが伝わります。
外国人従業員比率: データは開示されていません。
障害者雇用率: 2.74%と法定雇用率(2.3%)を上回っています。(有価証券報告書に記載)
労働安全衛生
労働災害発生件数: 休業災害は11件発生しています。内訳は、休業4日以上の休業災害が6件、死亡災害は0件でした。(有価証券報告書に記載)
健康診断受診率: 100%と、従業員の健康管理を徹底しています。(有価証券報告書に記載)
ストレスチェックの実施有無: ストレスチェックを毎年実施し、従業員のメンタルヘルス対策にも積極的に取り組んでいます。(コーポレートサイトに記載)
まとめ
三井不動産は、高い平均年収、充実した福利厚生、多様な働き方の推進など、ホワイト企業としての魅力を多く備えています。特に、不動産業界のリーディングカンパニーとして、安定した経営基盤を築いている点は大きな魅力と言えるでしょう。
キャリア採用にも注力し、さらに女性社員比率も上げようという努力が数字に現れており、経営陣も人的資本経営に本腰を入れていることが伝わるデータでした。
以上が三井不動産のホワイト企業分析になります。
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