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KDDIはホワイト企業か?人的資本データから分析

はじめに

本レポートは、KDDI株式会社(以下、KDDI)を「ホワイト企業」として多角的に評価し、転職検討者や人的資本データを重視する経営者・人事部門にとって有益な情報を提供することを目指します。

KDDIは、日本の大手電気通信事業者であり、携帯電話事業「au」をはじめ、固定通信、インターネットサービス、金融事業など幅広い事業を展開しています。

近年は、5GやIoT、DXといった成長分野への投資を強化し、新たな価値創造に取り組んでいます。このような事業展開の中で、従業員の働きやすさや待遇、人材育成、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みは、企業の持続的な成長にとって重要な要素となっています。

「ホワイト企業」の定義は、厚生労働省の「ホワイト企業認定制度」の評価基準と、以下の項目を満たす企業とします。

  • 健全な経営と優れたビジネスモデル

  • ワーク・ライフ・バランス

  • 人材育成

  • ダイバーシティ&インクルージョン

  • 労働安全衛生

  • 平均年収

本レポートでは、直近の有価証券報告書、企業コーポレートサイト、厚生労働省「ホワイト企業認定制度」の公示情報、口コミ転職サイトなどを参考に、KDDIのホワイト企業度を評価します。

経営成績

KDDIは、2023年3月期の連結売上高が5兆6717億6200万円(前期比4.1%増)、営業利益が1兆757億4900万円(前期比1.4%増)と、増収増益を達成しています。(有価証券報告書に記載)これは、5Gの普及やDX需要の拡大などが要因とされています。自己資本比率は43.0%と、財務基盤も安定しています。(有価証券報告書に記載)

従業員一人当たり売上高は約1億1400万円と、非常に高い生産性を誇っています。(算出根拠:(5兆6717億円)/(4万9659人))(有価証券報告書に記載)これは、KDDIが高い付加価値を提供するビジネスモデルを構築していることを示唆しています。

平均年収

KDDIの平均年収は943万円(2023年3月31日時点)と、日本の平均年収と比較して高水準です。年収推移は横ばいですが、待遇面は魅力的と言えるでしょう。(有価証券報告書に記載)

男女間の賃金格差

男女間の賃金格差は78.0%(2023年3月31日時点)であり、日本企業全体と比べると格差は小さいものの、改善の余地はあります。KDDIは男女間の賃金格差の要因として、女性の管理職比率の低さを挙げており、女性の活躍推進に力を入れています。(有価証券報告書に記載)

人事評価制度

人事評価制度は「KDDI版ジョブ型人事制度」を導入しており、職務・スキルを明確化し、成果・挑戦・能力を評価する制度となっています。(有価証券報告書に記載)透明性のある評価制度の導入は、従業員のモチベーション向上に繋がるでしょう。

月間平均残業時間

働き方改革を積極的に推進しており、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた様々な取り組みを行っています。(企業コーポレートサイトに記載)

有給休暇取得率

有給休暇取得率は73.9%です。2023年の日本の有給休暇取得率は63%、政府目標は2025年までに70%にしたいと言っていますから、まずまずの数字と言えるでしょう。

育児休業取得率

育児休業取得率は、男性58.1%、女性100%と、男性の育児休業取得を推進しています。(企業コーポレートサイトに記載)

育児休業取得率については、男性が100%を超える数字を公表している企業もいます。これは育児休業を取得した”のべ人数”を男性社員数で割っているためと推測されます。たとえば、産後パパ育休と長期の育休を組み合わせて使った人は2人分とカウントしているのではないかと思います。少しズルいカウント方法ですね。

一方、KDDIの58.1%は産後パパ育休と長期の育休を組み合わせて使った人でもちゃんと1人分にカウントして、”マジメに”集計していることが予想されます。このあたりのカウント方法の揺れについては、日本政府もちゃんと指導をして欲しいと思います。本題に戻りますが、58.1%という数字は、”マジメに”カウントしたとしても、少し低いですね。男性が育休を取りにくい空気感が社内を若干漂っている可能性はあります。

リモートワークについて

リモートワークについては、状況に応じて柔軟な働き方ができる環境を整備しています。(企業コーポレートサイトに記載)

離職率

離職率は3.35%ということで大企業の中ではまずまずといったところです(企業コーポレートサイトに記載)

人材育成

KDDIは、人材育成を重要な経営戦略と位置づけ、社員の成長を支援する様々な研修プログラムを提供しています。(企業コーポレートサイトに記載)

DX人材育成のための「KDDI DX University」を開設し、全社員のDXスキル向上を目指しています。(有価証券報告書に記載)

研修費用は一人あたり238,547円とかなり高い水準です。ちなみに、2019年度が80,000円ですから、この5年間で約3倍になっています。相当力を入れた分野と言えそうです。(企業コーポレートサイト「ESGデータ」に記載)

多様性(ダイバーシティ)

KDDIは、「ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」を掲げ、多様な人材が活躍できる職場づくりに取り組んでいます。(企業コーポレートサイトに記載)

女性管理職比率

女性管理職比率は10.6%(2023年4月1日時点)と、目標値の15%には届いていませんが、着実に増加傾向にあります。(有価証券報告書に記載)
外国人従業員比率、障害者雇用率は非公開です。

労働安全衛生

KDDIは、労働安全衛生法に基づき、従業員の安全と健康を守るための取り組みを推進しています。

労働災害発生件数は非公表、健康診断受診率は2022年度の実施率は99.9%でした。ストレスチェックも実施しています。(企業コーポレートサイトに記載)

新卒・キャリア採用数

2022年度の新卒採用数は299名、キャリア採用数は385名です。(企業コーポレートサイトに記載)

キャリア採用比率は約56%と、半数以上をキャリア採用で調達していて、非常にキャリア採用に積極的ですね。KDDIで働きたい方は、今すぐビズリーチに登録を!

まとめ

KDDIは、高い平均年収、充実した福利厚生、働き方改革、人材育成、ダイバーシティ&インクルージョンなど、ホワイト企業としての魅力的な要素を多く持っています。一方で、女性の管理職比率の向上など、改善の余地がある点も見受けられます。

総合的に見ると、KDDIは成長性と安定性を兼ね備えた企業であり、従業員にとって魅力的な職場環境を提供していると言えるでしょう。

今後、KDDIは、5GやDXといった成長分野への投資をさらに加速させ、新たな価値創造に挑戦していくことが予想されます。

これらの挑戦を成功させるためには、従業員の更なるエンゲージメント向上や多様な人材の活躍が不可欠です。

KDDIは、人材育成やダイバーシティ&インクルージョンへの投資を強化し、従業員が最大限に能力を発揮できるような職場環境づくりに、より一層注力していくことが期待されます。

KDDIのホワイト企業分析は以上になります。参考になりましたら、スキ・コメント・フォローをお願いします!

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