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日本人が知らないアメリカBLM事情(#1) 現地元新聞記者にキング牧師暗殺の地でインタビュー


こんにちは。アメリカのど真ん中ネブラスカ州からメキシコ湾目指して約3000kmを一人カヤックで一人下っているボロロン玲子です。多分、日本人女性初のチャレンジ中!

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出発から43日、合計1800キロ以上一人でカヤックを漕いで辿り着いたのはキング牧師暗殺の地で知られるテネシー州はメンフィスの大都会。
奴隷制度と黒人差別の重い歴史を抱えるアメリカ南部•ディープサウスと呼ばれる地域の少し手前。

今、アメリカの国境を越えて世界中で議論されているBLM問題について、ミシシッピ川をカヤックで南に下りながら各地域の地元住民に「人種差別問題」についてインタビューしていくこの新企画

第一弾の今回インタビューさせて頂くのは、地方新聞元記者のエイプリルさん(オレンゴン出身メンフィス在住の白色人種)です。

早速ですが、エイプリルさんはメンフィスの中心部から車で15分ほど離れた住宅地にお住まいとのこと。地域でプロテスト(デモ)などには参加されましたか?

いいえ。主にプロテストは、仕事で忙しい昼間の時間帯に自宅から少し離れたメンフィス中心部で行われていたので、参加していません。

プロテスト、BLM活動そのものに対しては賛成/反対ですか?

「人種差別は無くなるべきだ」と主張する権利は当然のことです。必要な時に平和的な方法で団結して声をあげる、つまりプロテストするのは、何も間違っていません。

今、世論で問題になっているBLM活動における破壊行為、政治的背景などに関して、これはプロテストの本質とは離れた問題だと考えています。

破壊行為に関しては、自分たちが抱える何らかの不満を暴力的に発散したい人たちが、「人種差別反対」という大義名分を悪用して暴れているだけ。
背景で噂されている政治的な思惑に関しても同じく、結局のところ、人種差別と真摯に向き合い成長していくという姿勢が欠如しているのが何よりの問題でしょう。

エイプリルさんは白色人種ですが、黒人と白人の間に溝を感じる事はありますか?

私の親友の中には黒人の子もいるので、私自身差別的な意識は全くありません。高級住宅地で黒人と白人が混在しているケースは多くあります。

ただし、一般に黒人コミュニティと呼ばれるものは存在していて、白人コミュニティとの間に差が生まれているのは現実問題、事実です。例えば:

1)ブラックアメリカンの間で使われているエボニックと呼ばれる英語。黒人はエボニックを理解できる黒人同士のコミュニティに留まってしまうし、言語が違う白人との交流の機会を乏しくしている。白人が黒人を嫌うという図が一般的だが、実は地域によっては、黒人コミュニティの方から白人を排除しようとする事もある。

2)黒人が多く集まっている住宅街は、事実、庭の手入れや家のメンテナンスなどができていない家が目立つし、治安も悪い

3)モールにしても、黒人が集まるモールがお店として衰退していってしまうのはよくある話。

などなど...。

ではアメリカ社会の中で黒人コミュニティが抱える問題の根源は一体何だと考えてますか?

大きく言えば「貧困」ですが、「貧困」という言葉は背景にたくさんの問題を含んでいます。

貧困によって生まれる家族間の問題は、人を孤独にします。貧困家庭出身者が高等教育を受けるにあたって、学費の工面が大きなハードルになっている事も事実です。そうして社会からドロップアウトした中の一部の人たちが、犯罪に手を染めてしまう。負の連鎖です。

では、もっと社会福祉の手厚い保証が必要だと?

生活保護など、社会福祉はとても重要ですが、最終的にはそれに依存しないで一人一人が自立しなければいけません。それに、問題を抱えている人が負の連鎖を断ち切るには、他者との繋がりを持つことがなによりも重要だと考えています。

例えば、私は警察官の看守の仕事をしばらくしていた経験があるのですが、そこで何よりも驚いたのは、ほとんどの看守はみんな仕事に慣れるにつれて囚人を「人」ではなく「モノ」として扱うようになるのです。「相手は自分とは関係のない人間」だから。

貧困家庭向けに洋服や家電、食料などを配る施設でボランティアをした時もそうでした。配る側の職員が、いつの間にか、「助けを必要としている人たち」のことを自分とは別世界の人、「自分とは結局のところ、関係のない人間」だと思うようになって、心をお互いに通わせることができなくなるのです。

人種問題以前に、人間として、一人一人が真にオープンマインドになっていく事。これが現代に求められている重要な事だと私は考えています。


白人警官が黒人を殺してしまう事件は、今回のミネアポリスの件だけでなく、2015年のニューヨークの事件など過去にも同様のケースが報告されていますよね。この問題はこれから先も繰り返されてしまうのでしょうか?

私が以前読んだ統計では、まず
1)黒人が警官に殺されてしまうリスクは人口の割合で比べると白人に比べて高いのは事実である一方、全体的な発生件数で比べると白人が警官に殺される事の方が多い。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6080222/

という事実があります。黒人だから、というただそれだけの理由で無抵抗の人間が殺される事は間違っていますが、これが解決する/しない、というのはとても難しい議論だと思います。また、

2)黒人が警官に殺されるより、黒人同士の揉め事で殺人に発展する事の方が多い

3)黒人が命を失う、という点においては、貧困の背景と人工中絶に占める黒人女性の割合の高さも見過ごせない。https://www.kff.org/womens-health-policy/state-indicator/abortions-by-race/?currentTimeframe=0&sortModel=%7B%22colId%22:%22Location%22,%22sort%22:%22asc%22%7D

と私は考えています。

貴重なお話、ありがとうございます。

〜第二弾へ続く〜



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