宅録用ボーカルブースの改造
1. 吸音性能の低さに困っていた
今の家に引っ越してからどうもボーカルの反響のコントロールができていないのが気に食わなかった。これまではMarantz ProfessionalのリフレクションフィルターSound Shield Iをマイクスタンドに刺して使っていて、見た目はスタイリッシュなのだけれど、上方向のエネルギーが吸収できていないから天井からの反響を拾っている感じがしていた。
これはマイク周り全てを厚めの吸音材で埋め尽くさないとダメそうだなということで、リフレクションフィルターを新調した。
適当にかなりの安物を買ってしまったのだけれど、これは簡単な理由で、吸音っていうのは防音とは違ってそんなに重厚な装備が必要になるわけじゃないからなんですね。吸音では、この箱の中に存在する音というエネルギーを反射させなければいいだけなわけですね。
かなり雑なイメージを書いてみると、
つまりエネルギーを発散させたいわけです。このウレタンがとにかくギザギザしてくれていれば、マイクとは無関係な方向に反射しまくってるうちに音が減衰していって返ってこなくなる。それだけでいい。
これが防音だと、箱の外に音が漏れてこないよう箱の内部でエネルギーの移動を完結させることになる。なので、防音防音っつって壁に吸音材をベタベタ貼っていくと、逆に音を吸収して壁に伝わりやすくなったりします。ご注意を。
2. 届いたので組み立てる
簡易的なブース、ウレタン、マイクスタンドへのマウントのためのアダプタ、あってもなくても変わらない程度の説明書が届く。ウレタンが膨らむまでちょっとほかっておいてからブースに押し込んでいく。固定する機構はなく、ウレタンが本体の幅よりちょっと大きいということによるつっぱりの力で固定する。
次にマイクスタンドへの固定用の円盤とアダプタをセッティングする。本体の下に穴が空いているので、そこにマイクスタンドを通すためウレタンに切り込みを入れる。決して穴を開けてはいけない。
マイクスタンド(メーカーは僕が推しているGravity)に一旦乗せてみる。
こいつは自分自体を水平にする機構を持ち合わせていないので、一旦斜めの状態。
たぶん僕の入れ方が悪かったんだと思うけど、ウレタンが飛び出してるので、ポップフィルターを押し込むためにウレタンの飛び出した部分にまた切り込みを入れる。
そしてポップフィルターを押し込む。
これ、下側のウレタンは初めから飛び出すようにしておいて、こうやってポップフィルターを押し込んだ方がむしろ綺麗に録れるんじゃないかっていう気がする。
3. 完成
うん。悪くない感じにできた。ちょっと傾いてるのはまたなんとかします。
一応一通り試してみたけど、部屋でそのまま録るより明らかに反響は減ってますね。これでさらにミキシングが楽になったらありがたい。今の状態だとUniversal Audioのマイクが泣く。
4. ちなみに
今回みたいにマイク周りを吸音材で埋め尽くす戦略が嫌な場合には、壁を吸音材で埋め尽くすという戦略もあるにはある。
これの場合には、壁に粘着力ゆるめの養生テープ(剥がす時に壁を傷めなさそうなやつ)を貼って、その養生テープに対して吸音材をヒートガンで圧着させるのが個人的にはいい方法でした。
気が向いた時にまたスタジオのセッティングでもまとめてみようと思います。